さえない工芸デザイナーが死んだはずの大富豪に成りすまし、夢の楽園「パノラマ島」の建設を実現するという、江戸川乱歩の原作に沿った物語に一工夫加えられていて、脚本家ジェームス三木の才気が感じられます。
明智小五郎が本格的に動き始めるのが物語の後半に入ってからなので、天知茂ファンとしては少々不満ですが、その分ゲスト陣が大健闘です。まず、デザイナー役(富豪と二役)の伊東四朗が夢見る男を熱演しており、富豪に化けてからの二重(?)の演技も見ものです。富豪の未亡人の叶和貴子は、しとやかな和服姿はもちろん、「パノラマ島の女王」の衣装もキマッていて、複数のヌード・シーンもこなします。インチキ宗教家の小池朝雄は、大きな目にほんとうに恐いような迫力があり、彼と通じる!!デザイナーの妻の宮下順子は、強欲な悪女をストレートに演じています。(ただし彼女のお色気に期待すると当てがはずれます。)それから、ほんの少しですが、五十嵐めぐみのかわいい振り袖姿が見られるのが、(半分は彼女が目当てでこのシリーズを購入している私としては)うれしいところです。
「パノラマ島」の場面は、最近の映画のように大がかりには行きませんが、<エロスの園>はきれいな色使いで、ヌードの女性も多数出演し、かなり楽しめ、<恐怖の谷>もセットの作りがていねいです。低俗と感じる方もおられるかもしれませんが、乱歩の愛した浅草のレビューや見世物小屋の雰囲気を再現したものとして、評価できると思います。
最後の「人間花火」(乱歩の他の作品に似たような話がなかったかな!!?)は確かに衝撃的で、茫然と立ち尽くす捜査陣の頭上にヒロインの鮮血が降り注ぐラスト・シーンはシリーズ中の名場面と言えるでしょう。