天理教の分派に関して詳しく調べてあり、「異端」ではなく「分派」と表現しているのもそれとして妥当だろうと思います。そして、社会背景に溶かし込むのではなく、救済の論理に着目した点などは優れた点だろう。
しかし、「分派」を救済の論理に着目して論じるというからには、やはり「いわゆる正統」の立場や見解をもう少し詳しく参照する必要があったのではないかと言わざるを得ない。その点が足りない分、やや一面的になってしまっている感が否めない。ここでは、「分派」サイドの解釈が論理の飛躍ではなくむしろ自然な解釈として描かれる傾向にあるが(それ自体が問題ではない)、それならば、「正統」と「分派」の相違点に関するある程度まとまった記述と、なぜ「正統」の解釈がこれらの分派とは異なり、それが「正統」になりえたのか、という点に関して体系的な記述が必要なのではないかと思います。それがないことが全体にひびいている。それゆえにどうしても、ここでの解釈をどこまで信頼していいか、すなわち、どこまで厳密に考察されているか、という点で足踏みしてしまう。その点を補強して第二弾に期待したい。
今後の期待も込めてちょっと厳しい評価になりますが星2つです。ちょっと辛口だったので補足すれば、今のままでも、もともと天理教の分派に関心を持っている人にとっては、おもしろいのではないかと思います。