もともとライトノベル好きなので、表紙とあらすじを読んで購入を決めました。
邪神ダラムに魅入られてしまったセレンは、ダラムの力をその身に宿し、それから解放される術を探して、賢者ザイオの言葉に従いピエニシュという土地を訪れる。
その道中で出会った美青年の剣士フォルドは、なぜか触れるだけでダラムの力を抑えることができる。
世話になっていた宿が”ごろつき”に絡まれているのを助けたのがきっかけで、セレンとフォルドは一緒に旅をすることに…。
池上さんのイラストが大好きだったことと、あらすじでセレンとフォルドの恋に期待して購入しましたが、しかし、あらすじを読んだときに感じた魅力を、本編では一切感じられなかったのが残念でした。
というか、「これ、もしかして続き物の途中の巻じゃないよね?」と訊きたくなるほど、設定や状況説明が少なすぎます。
長々説明して欲しいとも思いませんが、「なぜ、その登場人物が、そのような行動をするのか。」その原因や理由の描写ぐらいはして欲しいです。
そもそもフォルドがよくわからないうちにセレンと行動を共にしますが、そのあたりの説明もほとんど無いまま話が進みます。
フォルドもなにか目的があってセレンと一緒にいるのでしょうが、最初の部分を読んでいる限りでは、その動機は決して”恋心”ではないはず。
ごろつきを倒したのがきっかけにしても、その後直接的な理由もわからないまま二人が一緒にいることに違和感を覚えました。
主人公含め重要人物たちは、匂わせるような。ごまかすような。はぐらかしているような。そんな描写ばかりで、こちらが想像する余地もないぐらい薄っぺらいことしか言いませんし、
とくにフォルドに関しては秘密が多く、最後の方の活躍でも、どうしてそんな力を持っているのかすら、ろくな説明もないまま話が終わります。
つねに読者が置いてけぼりの状態で話が進むので、いちいちページを戻ったりしながら確認するのが面倒ですし、なにより文章が頭に入ってきません。目が滑ります。
気が付けば、なんかよくわからないうちに物語が終わってしまいました。
おそらく今後も続くシリーズものなのでしょうが、伏線のためにあえて設定や状況の描写を少なめにしているのか。
だとしても、あまりにもあっさり流されすぎて、現在の状況すらわかりにくい状態では意味がないと思います。
そしてなにより、この作品で一番致命的なのは、”恋愛”の描写がほとんどないこと。(そんなことないよ!と言われそうですがあえてこう言わせてもらいます。)
私は恋愛ものの醍醐味は「好きになっていく課程」が面白いと思うのですが(あくまで個人的意見です。)、セレンとフォルドが惹かれあう理由がわかりません。
セレンの方は、おそらく一目惚れに近い感情なのでしょう。あれほどの美形に守ってもらえるならば、ふつうの女の子であれば少なからず恋心を覚えるのも不思議はないのですが。
むしろフォルドの方が簡単に「好き」という割に本気じゃなさそうと言うか…。話の後半では本気なのかもしれませんが、フォルドがセレンを好きになる理由がわからない。
もしかしたらそれには伏線があって、過去に因果があったりするのかもしれませんんが、少なくとも今回の話の中で二人の仲が盛り上がるほど、劇的な何かが起こったとは言い難い。
まあ、今後も続くのだと思われるので、その中で追々絆を深めていくのかもしれません。
私が非常に残念に思うのは、シリーズものとして作るのを前提にしているせいなのか、うまく1巻でまとまらないなぁと。
以降の話の為にあえてそうしてるんじゃないかと邪推したくなるほど、物語が間延びしているような印象を受けます。
せめてヒロインとヒーローのなれそめ部分はもっと密度濃くしてもいいんじゃないでしょうか?
最近の恋愛ものって、意味もなくイケメンにちやほやされていたり、きっかけもろくにないまま結ばれたりすることが多くてガッカリします。
100歩譲って恋愛の過程は今後の話で進めるとしても、せめて二人が一緒にいなければならない理由ぐらいは、この巻の話の中で明確にしてほしかったです。
今はこれぐらいライトな方が受けるんですかね…。