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ご存知無い方のために説明するが、「天切り」とは天井を切って侵入する泥棒手法のこと。実際に瓦などをはがし、鋸、ノミ他の七つ道具を手に天井を切って侵入するのである。泥棒手法の中でも、最高に華麗な荒業なのだ。その天切りの使い手だった松蔵。人呼んで「天切り松」。ちゃちな犯罪者が横行する現代に蘇った旧弊の大泥棒が、警視総監から大臣にまで請われて、犯罪防止と称し、泥棒話法の「闇がたり」を駆使して語る往時の大浪漫なのだ。
前作のメンバーが顔を揃える。振袖おこんは相変わらず良いなぁ。前作の山県有朋から盗んだ金時計の話も良かったけど、こちらも勝るとも劣らない(花と錨)。他にも目細の安吉、黄不動の栄治、などなどオールスターキャスト。小政の登場する「残侠」「切れ緒の草鞋」(前後編)、目細の親分が登場する「目細の安吉」、百面相の書生常の「百面相の恋」、待ってました振袖おこんの「花と錨」、黄不動の栄治の「黄不動見参」、そして松蔵自身の「星の契り」「春のかたみに」の全8話が収録されている。どれもこれも粋でいなせな奴らが活き活きと描かれている。もうため息が出るほどだ。珠玉という言葉は、この作品集にこそふさわしい。
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