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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
浅田次郎の真骨頂。珠玉という言葉はこの作品集にこそふさわしい,
By takefour (埼玉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 天切り松 闇がたり 2 残侠 (単行本)
物語を紡ぐ職人、浅田次郎の真骨頂。不思議なリズムを持った小気味良いべらんめぇ口調が、脳内に残響を残しつつ幾度となくリフレインする。これは現代の講談だ。ご幼少のみぎりに公園で飴玉につられて見た紙芝居だ。現代の作家で、この手の人情話を書かせたら浅田次郎の右に出る者はいない、と断言してしまおう。一時、泣かせのテクニックが安直に陥ってしまい、作為的で嫌味すら感じたこともあったのだが、この作品群では見事に復活を果たしている。実に華麗な寸止めぶりである。空手十段の達人が放った寸止めがごとき荒業。顔に身体に鋭い風圧を感じさせながらも、まぎれもない寸止めなのである。ご存知無い方のために説明するが、「天切り」とは天井を切って侵入する泥棒手法のこと。実際に瓦などをはがし、鋸、ノミ他の七つ道具を手に天井を切って侵入するのである。泥棒手法の中でも、最高に華麗な荒業なのだ。その天切りの使い手だった松蔵。人呼んで「天切り松」。ちゃちな犯罪者が横行する現代に蘇った旧弊の大泥棒が、警視総監から大臣にまで請われて、犯罪防止と称し、泥棒話法の「闇がたり」を駆使して語る往時の大浪漫なのだ。 前作のメンバーが顔を揃える。振袖おこんは相変わらず良いなぁ。前作の山県有朋から盗んだ金時計の話も良かったけど、こちらも勝るとも劣らない(花と錨)。他にも目細の安吉、黄不動の栄治、などなどオールスターキャスト。小政の登場する「残侠」「切れ緒の草鞋」(前後編)、目細の親分が登場する「目細の安吉」、百面相の書生常の「百面相の恋」、待ってました振袖おこんの「花と錨」、黄不動の栄治の「黄不動見参」、そして松蔵自身の「星の契り」「春のかたみに」の全8話が収録されている。どれもこれも粋でいなせな奴らが活き活きと描かれている。もうため息が出るほどだ。珠玉という言葉は、この作品集にこそふさわしい。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
大正の昔の人々の粋な生き方に乾杯!,
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レビュー対象商品: 天切り松 闇がたり 2 残侠 (集英社文庫) (文庫)
大正時代の大義賊であった「目細の安吉」に仕え、「天きり松」と呼ばれた不思議な老人が、留置場の中に現れ、他の囚人や看守たち、はては署長までもが耳をそばだてる前で、大正の昔の義賊たちのことを闇語るシリーズの第二巻です。今回も、「目細の安吉」に仕えた義賊たちに加え、前巻での永井荷風同様、「清水の小政」といった特別ゲストのエピソードも登場し、物語に彩りを添えています。エピソードの内容としては、「男(人間)だったらかく生きたいね」と思わせるものばかり。会社を見ても、世の中を見ても、大人(タイジン)がいなくなったなあと思わせる昨今、ほんの束の間でも、痛快な思いを味わえる1冊です。あ、もちろん、「自分もこう生きねば」という自戒の念も込めてです。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
粋!な贈り物。,
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レビュー対象商品: 天切り松 闇がたり 2 残侠 (集英社文庫) (文庫)
天切り松闇がたりシリーズ第2弾。第1巻の『闇の花道』では大いに泣かせて頂きましたが、この第2巻『残侠』でもしんみりさと粋な江戸っ子ぶりが健在です。大正ロマンあふれる花の東京で庶民に歌として唄われる程の義賊・目細の安吉一家が一般庶民には目の触れない世界で粋な仕事をし続けるその姿、それぞれの主人公に惚れてしまいます。松蔵の成長記とも言えるこの作品は何につけてもヘナチョコな平成の今の世への贈り物です。
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