これは第1級の未来予測SFである。
現実のロボット研究が漫画家や映画監督のイマジネーションを追い抜き、実用段階にはいりつつあることは知っていたが、その結果何が起きるかを的確に予言したSFはなかった。従来のSFは擬人化したロボットが「人間のように心を持ったらどうなるか」といった机上の空論ばかり描いていた。
しかし、著者は現実のロボット研究の現場を徹底的に取材し、100を越すロボットの試作機をじっさいに見て、正確にロボットの未来像を描き出した。
それは擬人化ならぬ「使い捨て化」だ。
ロボットの最大の特徴は、人間と違って、死んでもかまわないことだから、危険な作業に消耗品として投入できるということだ。もちろん、その危険な作業の最大のものは戦争だ。
これを読まずしてロボットを語るなかれ。そう言い切れる。きっと「ロボットSFの古典」になるだろう。
尚、この著者は国際政治をテーマにしたメルマガを発行しているため、そちらで「中朝戦争」に関する予測記事を読んだ読者は、この小説にも中朝戦争の「戦況」が描かれているに違いないと思い込んで購入し、期待と違う内容だったことで、文句を言っているようだ。
しかし、著者は事前にメルマガやホームページで、この小説が
・中朝戦争をメインテーマとしておらず、背景として描くこと
・小説「天使の軍隊」の舞台は(中朝戦争のずっとあとの)2020年代の世界であること
・小説のメインテーマは軍事用ロボットであること
・小説とメルマガは基本的には関係ないこと
を繰り返し明言している。ファンならば、そうした著者の言葉を忘れてはならないだろう。