小学生だったが中学生だったか、とにかく記憶に残る限り、生まれて初めて号泣した映画は、TBSの「月曜ロードショー」でオン・エアされた今作だ。
舞台はフィレンツェ、幼くして母親を亡くしてしまったふたりの兄弟。8歳の兄はその悲しみをうちに秘めながら、母親は何カ月も旅行に行っていると信じ込んでいる4歳の弟を健気に気遣う優しい性格の持ち主だったが、ある雷鳴轟く夜、恐怖と不安感に陥った弟は母親はもうこの世にはいないと思わず口走ってしまう。
弟にはくれぐれも内密にしておくよう兄に口止めしていた父親は兄が秘密を打ち明けてしまったと勘違いし責め、以降、ふたりの間には溝が生まれどんどんと深まっていく、、、。
物語の序盤はこんな感じだった。
実は今作は後にも先にも鑑賞したのはこの1回のみ。それはこの後映画好きが高じるうちにその嗜好がよりマニアックに理屈っぽい作品を好むようになり、今作のような純粋素朴な作品をいつしか敬遠してしまったからだと思う。
でも、年を重ね、今回、今作が晴れてBD化された事を知り、是非再見したい衝動に駆られた。
悪い人間など誰もいないのに、それぞれが最愛の人を失った悲しみに打ちひしがれているのに、ささいな誤解と行き違いがこの上ない悲劇を招いてしまう。
自分だってどうしようもなく淋しいのに強く生きなければいけないと思う健気さと、父親には分かって欲しいと願いながらも確執が深まってしまう悲しみ。
8歳の子供がこんな重荷を背負う。
これはやっぱり辛すぎるだろう。
フィレンツェの街並みを切り取った映像美と美しいスコア。
後に、NHK・FMの関光夫の「ポピュラー・ミュージック」(懐かしいね)で掛けられた際エア・チェックし、繰り返し聴いたテーマ曲は今でも口ずさめる。
子役たちは名演。父親役はイギリスの名バイプレーヤーのアンソニー・クェイル。「アラビアのロレンス」や「ナバロンの要塞」、「鷲は舞い降りた」とか好きな映画に沢山出てるけど、自分の中では今作である。
更にもうひとつ。
今作は父と子を巡る作品との印象が強いが、実は亡き母親への絶えがたい愛と想いを描いた作品でもあるのだ。
あっ、言ってしまった。
でも、男は永遠にマザコンだからね。
感動した映画は、歳月と共にいつしか自身の脳裏の中で更に美化され記憶に残っていくものだ。
今作が果たしてどうなのか、、、。
でも、再見したらやっぱりグッとくるんだろうな。