演劇集団キャラメルボックス2009年クリスマスツアーの原作。
生真面目で頑固者のお父さんが、ある日事故にあい、人の心の声が聞こえる耳を持ってしまう。真面目に教師として家族のために一生懸命働いてきて、家族円満で順風満帆の人生……のつもりのお父さんに、息子、娘が投げつけた心の声は辛辣なものだった……
なんというか、ここ数年、「お父さん」を怠っている気がしてならないウチにとっては身につまされる話です。帯に書かれた「大切な人の心の声、聴こえていますか?」という言葉のとおり、成井豊さんらしい人が人を思う気持ちを前面に出したストーリーですが、今一つ入り込めませんでした。
「
君の心臓の鼓動が聞こえる場所」ではあまり気にならなかったのですが、今作は脚本家が書く小説らしく地の文が説明的で描写に欠ける気がします。
舞台版では本人と心の声を二人一役で演じるという表現をしていたり、聾の青年を見事な手話で見せていただけたり非常に素敵な作品になっているのですが、小説で読むと物足りないというのが正直な気持ちです。学習塾を経営する兄弟が起こす事件も、その解決に至る経過も舞台版ではそこまで気にならないのですが、小説だと強引で雑な印象を受けます。
好きな脚本家さんですし、この舞台も好きなのですが、小説としては……ということで、かなり辛めになります。