原題は"Family Man"。家庭を大事にする男、ということでしょうが、主人公はこの反対のキャラクター。マンハッタンの金融会社の社長でM&Aを仕掛けるやり手のビジネスマン。家族などは持たずに、リッチな独身貴族の生活に明け暮れている。映画の冒頭は13年前、成功を求めて恋人と別れる空港のシーンから始まる。そして現在、成功した彼は「天使」と出会ったことで、クリスマス・イブの朝、目が覚めると元恋人と二人の子供たちに囲まれた平凡な家庭の夫になっている。仕事はタイヤのセールスマン。そう、主人公は別の人生を生きる事で、家族や愛の大切さを知ることになるというファンタジーだ。主人公の心の葛藤が非常によく描かれていて、少し切ない。映画公開の時のキャッチが確か「あのとき"YES"とこたえていたら、ふたりは、どこにいたのだろう」だったと思う。自分自身の昔の恋人を思い出させる少しノスタルジックでかつロマンティックな要素もあり、好きな1本だ。別れた恋人が、「別の人生」では無報酬の弁護士だったのだが、実際、夢から覚めて会いに行った彼女は、彼と同じくらい成功した女性になっているところが面白い。そしてエンディングは再び空港へ・・・。ブレッド・ラトナー監督は、近年ではテンポよく無駄の無い映画を作る逸材だ。