本書は全16編が収められたSF短編集であり、短編、ショートショートから構成されている。フレドリック・ブラウンは良く知られているようにミステリー、ファンタジー、SF、普通小説と様々な分野で才能を示しているが、本短編集においてもSFという範疇に留まらない味のある奥行きを醸し出している。
個人的にブラウンの短編で最も好きなものの一つはこの短編集に収められている「ミミズ天使」。主人公チャーリーは印刷会社に勤める結婚を間近に控えた男だが、ある朝釣りの餌としてミミズを探していたところ、後光を放って羽ばたいて飛んでいくミミズを目撃してしまう。そしてそれ以降、土砂降りの中でひどい日焼けをしたりありえない場所でカモを見つけてしまうなど次々と奇怪な現象が彼の周りで発生する。!そして気が狂いそうになり結婚式も挙げることができず自殺未遂までしてしまう彼がついに見つけだした奇想天外な真実とは・・・。ファンタジーとミステリーがこれほどまでに見事に融和している短編小説はなかなかお目にかかれない。
この他、自己暗示によってあたかもなんでも言うことを聞くこびとがいるように物事が自動的に進んでしまう装置の本当の機能は驚くべきものであった「ユーディの原理」など、ファンタジー、SFファンには堪えられない一冊である。