もうこの作品に出会ったのは4半世紀も前だが、そのときの衝撃は忘れられない。自己実現という言葉を知った当時、また自分のセクシュアリティや親との関係を客観的に見直す時期に来ていた時、「女性の自己実現」を、こういう心理的な側面から少女漫画が取り上げていたという事は、ものすごい事だった。
こういう切り口で次々と心理面に深く食い込んだ、おどろおどろしくも怖い物見たさに読みたくなるような、一連の代表作群のトップを切って発表された作品だったと記憶する。「天人唐草」というみやびやかな題名の元に、寓意的に隠されたすさまじい主人公の生い立ちと思い出、今の時代風に言えば精神的な虐待にまでつながる問題、レイプシーンなど、衝撃的過ぎるほどだった。
そして、けっこうな年月が過ぎた今も、この作品のテーマは無くならないどころか、けっこう根が深くはびこっていて、色んな形で噴出している。自分の性を受け止めて生きていくことの難しさは、時代が変わってもそうそう簡単には無くならない。往年のファンにも若い人にも読んで欲しい作品集である。