『信長燃ゆ』『神々に告ぐ』等、一貫して独自の本能寺の変を考察し続けてきた筆者の、また新たな別角度からの織田信長観である。
長岡与一郎、万見仙千代、荒木新八郎という信長近習の若武者三人を中心に据え、荒木村重謀反から本能寺の変に至る信長包囲網の最終段階を、鉄砲という織田軍の武力を支える兵器の、さらに要を成す硝石の調達という観点から、ポルトガル、イスパニアとの交易を主軸として描いている。
近年、様々な作家によって散々書き綴られてきた織田信長譚であるが、この視点は斬新で独創性があり、読んでいて感心させられる事頻り。
また、長岡与一郎(細川忠興)を主人公としながらも、細川ガラシャを意図的に話の中心から遠ざけて“ありきたり”感を払拭しているのも良い。
ただ、文章が後半に行くほど粗くなっているのが残念。