最愛の女を自分の孫に入内させる法皇、法皇が大好きなのに入内する女。
法皇の目的は、その女に自分の子種を宿させて次代の帝にさせること。
そうすることによって女に最高の位を与えることができる。国母になることができる。
それこそがわが愛の証明。
この理屈が理解できません。そこを納得させてくれたならすごい作品だと
思えるのですが何の説明もないまま、話は進んでいく。
女はといえば、法皇さまが大好きなので帝に抱かれるのを嫌悪する。
女自身は特に栄達を望んでいない。家のために入内するわけでもない。
帝に法皇との関係がばれていても平気で、中宮としての意識もない。
法皇が亡くなると一人寝が寂しくて帝には構われたい。でも好きなのは法皇さま。
けっこう複雑な人間関係なのに単なるバカの見本市にしか見えない。
思考回路が飛びすぎていて、庶民には感情移入ができません。
かといって上流貴族の話なんだからと言ってしまうのは、貴族に対して失礼でしょう。
ところどころにエロが挿入されているのがまた何とも安っぽく、法皇と女が
ひたすら相手に耽溺していただけのバカップルにしか感じられず、どう読んでも
これを「愛」というものに昇華させるのは無理なんじゃないかと思いました。
ただの史実の羅列と「〜がどう思っていたかは分からない」という記述で
登場人物の心情の推移を誤魔化そうとしているのも何だか。
踏み込めないなら書くなと。
歴史小説にしては物足りず、恋愛小説としては共感できず、官能小説としては問題外。
作者は何を書きたかったの?
と思って巻末のプロフィールを見たら「失楽園」の作者でしたか。
それじゃつまらなくても仕方ないわw
とりあえず、装丁に騙されて定価で買って読んだら負けですね。
イラストレーターは好きなんで、カバーを買ったんだと諦めることにします。
最後に、白河法皇のことは「法皇さま」で統一なのに、鳥羽上皇や崇徳天皇は
そのまま表記なのはなぜ?
ヒロインの璋子のことは「璋子」「璋子さま」と表記に統一性がないのが気になりました。
この話は一体誰目線で書かれてるのか、何か意図があるのか。
何も意図がなくてがっかりですよ。
校正ちゃんと仕事しろ。