「祈り」についての雑誌連載記事をまとめた全12章。読みやすい文章でありつつ、じっくり味わいながら読みたくなる奥の深い内容である。
例えば、「祈りは神との対話である」と言われるが、著者は「祈りが神との対話であるとすれば、祈りを学ぶことによって、祈りの対話者である神も、自ずと見えてくる」と語る。簡単に言えば「お祈りすれば、神が分かる」ということだが、ここから、「たとえ神を信じてはいなくても、神を信ずる者の祈りを知ったなら、きっとその祈りの対象である神が、次第に分かってくるのではないか」と思いを広げていく。「意地の悪い人と対話をしていると、こちらの心もゆがみそうになるが、おだやかな人と話をしていると、こちらの気持ちも素直になる。寛大な人と話をしていると、心素直にのびのびとした思いになるし、無邪気な子供と話をしていると、こちらも童心が引き出される。というわけで、神との対話である祈りもまた、知らず知らずのうちにわたしたちみにくい人間をも、高め清めてくれるのである。」なぜそうなるのか。「それは、祈る対象が、人格を持った神だからである」。
その他、「幾度も祈っている信者たちにとっても、それ〔祈り〕はたやすいことではない」、「『神よ、どうかこの病気を治してください』という祈りだけで、果たしてよいのか」、「愛する者の死もまた感謝である」など、祈りの神髄を語る。