3部で大阪に復帰した熊吾一家ですが、冒頭いきなり富山への列車の中から始まります(全然印象は違うけれど『雪国』のように唐突に物語に引き込まれます、この冒頭)。
母子を富山に残して大阪にて奮起する熊吾ですが、やることなすことに不穏の兆しが見え始めているようです「歯車がうまくあわない」というのでしょうか、第一部などで熊吾を包んでいた理屈でない『運』というものがまったく見えない状態です。それは仕事に・周囲の友人に・女性関係にも影響しています。
そんな困苦の中から熊吾が気付き、学び得たものを息子・伸仁にささやかな言葉で伝える場面が数箇所あるんですが、この場面は絶品です。みようによっては親子漫才のように見えるかもしれない場面ですが、なにかこう「根幹」というか『根っこ』を鷲掴みしているような感覚を覚えます。
ストーリーを追いながらですが、その人個人の持つ「運(命)」というか「業(ごう)」というものについて深く考えさせられた(気がします、小人なものであまりたいそうなことは)小説でした。
巻末の作者自身のコメントにもありましたが、この長編は終わるのでしょうか?当初5部完結予定だったものが7部になるかもしれず、4部までに20年の歳月が経っています。
いずれにしろ早く続きが読みたいものです。