フレドリック・ブラウンは「ミミズ天使」「火星人ゴーホーム」など、シニカルでユーモアあふれる作品でしられている。
しかし、そんなブラウンも時として、しんみりとした作品を書くことがある。
短編なら「緑の地球」、長編なら本書がそれだ。
時は1997年、人類は火星、金星に到達していた。しかし、かんばしい成果もないため、宇宙開発は停滞をよぎなくされていた。
そんななか、元宇宙飛行士であるマックス・アンドルーズは、ロケットを技術者をしながら無気力な暮らしをしていた。
そこへ、木星への探検を公約にかかげた議員立候補者のニュースを耳にする。
議員を応援するうちに、彼は宇宙への情熱をとりもどしていく‥‥。
この作品が最初に発表されたのは1953年。アポロもまだ月にはいっていない。
そのため、科学的ディティールなどは今の目でみると、古臭くうつるかもしれない。
しかし、若い頃の夢をあきらめきれず、宇宙をめざして奮闘する男の物語は、今日でも(いや今日だからこそ)リアルである。
あなたがいちどでも、夜空を見上げ、宇宙におもいをはせたことがあるなら
是非、本書を手に取るべきだ。