古今東西、戦争の最も被害者は女性です。その当時の一般的なベトナム女性の姿をよく描いた作品だと思います。
戦争映画の醍醐味である戦闘シーンこそほとんどありませんが、その戦闘の裏にある人間模様、ベトナムの自然、そして特にアジア仏教米作圏の家族観や祖霊崇拝と民俗、こういった事柄が兵士では無くベトナムの一女性を主人公として描くことによって感動的に描かれ、より深く戦争の抱える大きな問題を見る者に訴えています。
自伝を原作としているので、当たり前と言えばそれまでですが、シナリオももの凄くリアルです。
反面、これまた主人公の自伝であるから仕方ありませんが、少々主人公の生き方が美化されすぎているような気もしますが…。
他のアメリカの制作によるベトナム戦争映画一般的に言えることですが、白人の有色人種や異教徒に対する蔑視と偏見と差別がどうしても鼻についてしまいますが、この映画に於いてはその白人の傲慢さを批判的に描いていることも、アジアの黄色人種の一人として好感が持てました。
そして、カトリックと仏教を対比させることによって、より一層見る者に分かりやすくベトナム戦争の抱えていた問題を伝えていると思います。
オリヴァー・ストーン監督の“ベトナム戦争三部作”の完結編として相応しい傑作でした。