日本人であれば誰しも関心を抱かざるをえない3・11。
それゆえに、震災について取り上げた雑誌の記事などはセンセーショナルなものが多く見受けられる。
この本も例外なくそういったことがらを扱っている。扱ってはいるのだが、全編を通してその視点は柔らかい。
被災者の生活やそれを取り巻く環境、政府の対応を、煽り、叩く論調があふれる中で、この本はなんとも緊張感がない。
ただ、それが妙に腑に落ちる。
被災地を訪れる作者含む女性3人の発言や行動は、連日の報道とはかけはなれた実に日常的なものばかり。
まるで旧知の友人を尋ねるような物腰で描かれ、イラストもゆるい。
そんな中、ときおり胸に刺さる描写が織り込まれる。わたしたちの日常が震災以降激変したことを痛感させられる。
この本を不謹慎だと感じる読者は少なくないだろう。しかし、これから長く続く復興をしかめっ面だけでやりとおせるとは到底思えない。
この本に登場する作者や同行者、被災者の方たちは、すでに震災を日常に飲み込んでしまっているのだろう。
日本中が震災以降、本来の姿ではない生真面目さをお互いに押し付けあうこの時期に、こういった切り口の本は貴重だ。