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大震災後の日本経済ーー100年に1度のターニングポイント
 
 

大震災後の日本経済ーー100年に1度のターニングポイント [単行本(ソフトカバー)]

野口 悠紀雄
5つ星のうち 3.2  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

この逆境を、新しい日本をつくる機会に変えよう
・復興財源は増税でまかなうのが最も公平
・円高を阻止すれば復興投資の妨げになる
・電力抑制は統制でなく価格メカニズムの活用で
感情論では経済は衰退する。いまこそ合理的な選択を!

はじめに
第1章 復興にかかる厳しい供給制約
第2章 電力消費抑制に価格メカニズムの活用を
第3章 当面の復興財源をどこに求めるか
第4章 国債に頼ればインフレになる
第5章 震災後日本経済のブループリント

東日本大震災によって、日本経済を束縛する条件は、「需要不足」から「供給制約」へと一八〇度変わった。
日本は、これまで長い間、需要不足に悩まされてきた。
こうした条件下で必要なのは、需要を追加することだ。
しかし、これからは、石油ショックのときと同じように、総需要の抑制が必要になる。
この変化はあまりに唐突に生じたため、頭を切り替えられない人が多い。
しかし、これこそが復興を考える際の基本的なポイントである。
「はじめに」より

内容(「BOOK」データベースより)

感情論では経済は衰退する。いまこそ合理的な選択を。この逆境を新しい日本をつくる機会に変えよう。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 248ページ
  • 出版社: ダイヤモンド社 (2011/5/13)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4478016127
  • ISBN-13: 978-4478016121
  • 発売日: 2011/5/13
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.2 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.2  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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本書は、野口氏が震災後の日本経済の復興シナリオを純粋な経済学的見地から冷静に述べたものだ。震災から2カ月以上が経過し、評論家、学者等が各自見解を述べているが、多くは感情的な政権、東電批判、極端な原発廃止論だ。
 
 氏の主張は、感情的で不毛な論争には耳を貸さず、理論的に導出される策を地道に打つ以外にないというものだ。奇抜な「対策」はいつの時代でも成立しない。今回の震災対策は、国家財政、経済構造、企業のビジネスモデルを徹底的に見直す契機とし、マクロ的視点で考え、短期目標、長期目標の政策を互いに整合性を保持した中で適時打ち出していかなくてはならないと説いている。

その中で野口氏は、短期的には、価格メカニズムによる電力需要のピーク抑制。増税、対外資産売却などによる財源調達。円高容認、輸入増による供給力不足のヘッジ。長期的には日本を金融立国、資産大国として再生させ、企業は1ドル50円でも生き残れるようなビジネスモデルを構築しなくてはならないと説いている。

これは単なる理想論ではない。震災前から日本は既に緊急事態であり、国民一人当たりのGNP、企業利益などは低下し、国家財政に至っては、実質的に破綻しているからだ。今回の震災によって、この緊急事態対策の実行時期が大きく前倒しされたのだ。

本書が説得力に富むのは、従来の主張を変えることなく、既存の経済学理論を駆使し、復興対策を論じている点だ。野口氏の著作を踏まえたうえで本書に接すると、経済政策の基本的考え方について「そうだったのか」と改めて思い知る。感情的論議は今後も後を絶たないだろうが、日本復興のための短期、長期戦略を骨太に練り、素早く実行に移し、被災した方々、日本人全体、そして世界を一刻も早く安心させるのが、日本の政治家の大きな役割であろう。日本の政治家が示すべきリーダーシップの方向性について、本書から学べる点は非常に多いと思う。
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26 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
「経済学に当てはめて現状と先行きを分析するとこうなるのか!」
と素直に感心させられた。

類書を何冊か読んだが、東電や政府への怒りで、冷静な分析を欠くものが多い。
そうした中で、笑えるくらい(ゴメンナサイ)真面目で正統派の分析ではないでしょうか。

ただ執筆時点(分析の前提)と状況が異なってきている事象も多くあるが残念でした。
アップデートされたデータでの分析結果も見てみたいです。
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4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
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 マクロ経済の偉才である筆者野口教授の本は本書に限らず、凡夫の読者には難しい。難しい理由は2つある。

 (1)「風が吹くと桶屋が儲かる」と書いてあって、途中過程が書いてないか、何頁が後に書いてあることがあり、凡夫の読者を悩ませる。本書の例では「災害があると円高になる」とあり、説明が後回しだった。

 (2)「桶屋が儲かる」だけでなく「瀬戸物屋も儲かるが主として桶屋が儲かる」と書いてくれると悩まなくて済むのにと思う。本書の例では「国債発行には後の世代に負担を先送りする機能は無い。国債発行の時点の国民が負担することになる」という強調がある。マクロ経済的には、民間資金を政府が吸い上げる点で国債も増税も同等の効果を及ぼすという主張だと思う。しかし個々の企業や家庭はマクロ経済で生活している訳ではない。預金先の銀行が国債を購入した場合は勿論のこと、企業や家庭が直接国債を買った場合ですら、企業や家庭は損益悪化・家計悪化とは感じない。国債償還のために税金が課された時に初めて損益悪化を感じる。その意味で充分先送り効果はある。強弱はあっても両面を記載して呉れれば素直に納得できるのに。

 だからマクロ経済の偉才の本は凡夫には難しい。しかし難しいけれども解読に成功すれば、貴重な視点を与えてくれる本だ。但しマクロ経済と実体経済との差異に戸惑う点もある。

 震災の2ヶ月後に発行した本だから、まだ流動的だった情勢判断に基づいている所がある。例えば東電と東北電の電力不足を過大に、他の地域の電力不足を過小に評価している所がある。これは発行を急ぐ以上仕方無かった点であり、読者が翻訳して読めば良い。

 5章構成のうち、第1章の総論で特に上記の点を感じた。第2章は電力不足には電気料金値上げか電気税を累進的に課すことが望ましいという筆者の主張が述べられている。マクロ経済的には同じことだろうが、凡夫感覚では料金値上げは不可能で、やるなら課税しか無いように思われる。

 第3章は復興財源は増税以外に奇策はないこと。第4章は国債を財源にするとインフレの危険があること。第5章は日本経済の将来像として、元々製造業は海外移転して金融を中心とする高付加価値サービス業に頼る方向性しか無かったのが、震災で焦眉の急になったとしている。その選択が出来ないとジリ貧になるとも。

 震災の後で経済本が沢山出た。私がゴミ箱に投げ捨てた浅薄な拙速本が多い中で、傾聴すべき視点が多い本書をわずか2ヶ月後に発行した筆者と出版社に敬意を抱いた。
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