毎晩、5日かかったが読了。1996年6月刊行された単行本を文庫化。
1995年1月17日午前5時46分52秒。阪神・淡路大震災。
その後の4月から1年間に毎日新聞に毎週連載された異変の記録である。本書は震災直後、その後の復興と同時並行のレポートであり、徐々に明らかになった初動対応の遅れの事実、学者らとの対談により活断層や前兆現象、こころのケアを話題にしている。
その時になにがあったかの一次資料を残しておくことは重要だ=本書のテーマである。
7月18日付の全国紙夕刊に、政府が中央防災会議を開いて防災基本計画を24年ぶりに改定したとの記事が出た、という(9月9日の章、163頁)。ここに取り上げられた基本計画の4つの柱とは、'@国家中枢への情報伝達系統の確立と強化。'A自衛隊の協力強化。'B近隣自治体や公共機関の相互協力、ボランティアや外国からの救援の受け入れ。'C一般市民も自主防災態勢を強化する、である。
今では、どこまで出来上がっているのだろう。これらを支える人的な訓練が政府側ではなされているのだろうか。
本書を読んでいると、今では流行語になった「想定外」というキーワードが頭に浮かんでくる。当時は、海溝型地震(三陸沖、東海東南海など)を想定してきたが都市直下の活断層地震を想定していなかったことがわかる。とはいえ想像力は歴史の上に育まれるということだろう。
東日本大震災を経験した今になっても、防災基本計画や原発事故避難計画の改定が進んでいないようであり、著者が『日本沈没』(1973年)で描いたような、国民の流浪が近づいているように思えてならない。