現在もヒットしている「ルポ 貧困大国アメリカ」と同じく、
新自由主義に基づく規制緩和が中産階級を弱らせて、
ワーキングプアを増大させ、貧困が社会問題化していると、
本書は現状分析しています。
問題はそれはアメリカではなくて日本だということ。
私たちが知らない間に、
日本の貧困率は世界でも高い水準に到達してしまっていたのです。
財政は破綻寸前、少子高齢化は進行中。
本書の描く日本の姿は絶望的に見えます。
経済的なセイフティーネット、医療、年金制度、これら の社会基盤まで「崩壊しつつあり」、
最後に教育格差まで世代間移転が発生していることが示されます。
ここまで読むと、相当ショックです。
一方で著者はこういう八方塞がりの日本へ向けた処方箋を書いています。
貧困解消を最初に手を打つべきと言っています。
格差社会の解消へ向けての議論は、
従来は社会システム的な観点が中心であったように感じますが、
本書では「貧困の解消」という、
より具体的な課題設定をしているため、
方向性にはうなずけるものがありました。
大変読みやすく勉強になりました。
著者には続編を期待します。