預金、貸付、為替のいわゆる銀行の三大業務の他に、投信窓口販売、生命保険販売、自己勘定による取引など、多様化して外からわかりにくい昨今の銀行についてコンパクトに解説した本。さらに、銀行員の気質やそれがどこから来るものなのか、各銀行の特徴紹介、今後の銀行はどうあるべきかという著者の主張といったことも盛り込まれている。それほど専門的な内容ではなく、最近の銀行入門といった趣きも兼ねている。ゆうちょ銀行と日本銀行は載っていない。
ただ、著者独自の取材や調査で集めた個性的な情報はあまりない。豊富な人脈から集めた最新裏情報や、独占インタビューなども特に見当たらない。単に、新聞や雑誌の記事の引用やネットですぐ検索できる情報に線を引いて自分の論評を加えているだけのところが多い。しかも、あちこちで著者の他の本を参照となっていて、説明がしりきれトンボになっている。自著を宣伝したいという意図もあるのかもしれないが、そういう箇所がこれだけ多いとかえって逆効果である。
著者自身の主張としては、銀行の国債所有額の多さを批判している点が目立つ。しかし、もし銀行が国債を手放しにかかったら日本や銀行自身に何が起きるだろうか。銀行の国債保有を支持するわけではないが、銀行と国債の関係についてはマクロ的な視点での説明も同時に必要だと思われる。また、地銀に対して海外での融資業務を広げるように提言しているが、本書で指摘されているように自分達のホームである地元企業の融資ですら必ずしもうまくできているとは断言しにくいような銀行が、慣れないアウェイの国々での融資業務でそうそう簡単に成功できるものだろうか。少なくとも、建設的な提言とするにはもうちょっと説明が必要ではないかと思われる。