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39 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
感涙のDVD化,
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レビュー対象商品: 大菩薩峠 [DVD] (DVD)
大正時代の大ベストセラー小説にして日本文学史上の大傑作『大菩薩峠』の映画化。本作以前に二回映画化されており、最初は片岡千恵蔵、次に市川雷蔵が主役を張った。私はどちらも見たが、お好きな方には申し訳ないが、片岡千恵蔵は年が行き過ぎているし、市川雷蔵はおそらく仲代達矢より原作のイメージに近いのだろうが、目にアイライン引いて歌舞伎調のセリフ回しをするお武家さんはご勘弁なのだった。私にとって映画版『大菩薩峠』はコレこそが決定版だ。昔近所のレンタル屋で見つけて借り出し、釘付けになって見入り、「完」の文字が出ると同時に「すご〜い!」と叫んだ映画だ。その後も何度か借り出して見ていたがそのうちレンタルビデオ屋が潰れてしまい、以来ずっとDVD化を待っていた。念願成就でとても嬉しい。本作は確か続編が予定されていたという。その計画が半ばで潰れ、この一本だけになってしまったとか。故にプロットの穴は生じているが、一本の作品として立派に独立していると私は思う。原作を知っていると映画版に文句が生じるのが普通だが、この映画に限っては全くそんなことがなかった。原作でいうとほんのさわり部分の映画化だが、ラストの締めのカッコよさといい、独自の美学の世界だ。 何より仲代達矢が超絶的に美しくて怖い。あの深遠な瞳は確かに狂気を湛えているし、深い美声は地獄の囁きのようだ。私にとって仲代達矢はイチに『大菩薩峠』で二に『用心棒』である。音楽もカッコイイのでサントラが欲しいくらい。 ちなみにこの映画はアメリカで結構人気があり、熱心なマニアがついているらしい。日本でより人気が高いくらいかもしれない。アメリカのファンは原作の翻訳を求めて情報交換なんかしているみたいだが、日本人はそのまま原作が読めるのだ(優越感…)。この映画をお楽しみになられたらば、是非是非、原作の方もお手に取られることお薦めします。
8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
キャラクターの変更は、如何なものか,
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レビュー対象商品: 大菩薩峠 [DVD] (DVD)
私は大菩薩峠のマニアで、原作を全巻読破したのは愚か映画化作品も全て観ているが、原作が膨大な上小説世界として破綻してしまっているため、その全貌を映像化することは不可能である。故にこの岡本喜八の作品は、その仏教的無常観を表面化することを敢えて抑え、アクション映画としてテンポよく視覚化することに重点を置き、暗いテーマも娯楽作品としてうまくまとめてある、快作に仕上がっている。続編を製作する予定が、製作途中でこれ一本で打ち切り、が決まったため、やや尻切れトンボな結末になってしまった感は否めないが、作品冒頭の「美味しい」ところをうまく消化して、机龍之介を中心としたストーリーにうまく繋げた、のは岡本喜八の手腕が大きい。仲代達矢の龍之介は片岡千恵蔵や市川雷蔵の、歌舞伎調のエロキューションとは違い、低く腹に沁み渡るような響きを湛え、独自の虚無感を表すのに長じている。内田吐夢・千恵蔵版の作品は歌舞伎風の、赤や青の色調変化を基調としたホリゾントの背景が効果的であったが、モノクロの本作は色の無い分、陰影で登場人物の心理をうまく表現している。暗くなりがちな話を、陰惨にならずに進めていくのはアクション派の岡本喜八の面目躍如で、アメリカでも"The Sword of Doom"のタイトルで公開され高い評価を得ているのも頷ける。 と、言えば全て問題ないか、というとそう言う訳にはいかず、原作を全て読破した私のような人間には、出演人物の都合でキャラクターを変えてしまっているのが随所に見られ気にかかる。無論映画は原作に従属するものではないため、作者の意図により改変するのは自由であるが、これだけ著名な原作はやはり作品を映像化するに配慮が欠かせないものであり、登場する俳優のせいでキャラを変更するのは如何なものか。例えば原作では「山出しの馬鹿」だが巨漢で力持ちの与八を、小川安三を配役にしたからか「気の弱い、軟弱なだけの男」にしてしまったのはどうかと思うし、女好きの極悪人、だった神尾主膳が、天本英世を配役にしたため「女に興味のない、ただの変人」になってしまっているし、盗賊だが心優しい、はずの七兵衛が、西村晃が配役のため、「いざとなれば、拳銃で龍之介を撃つ」ような悪人にしてしまっているのは問題だし、何より最大の問題は、龍之介のライバルの筈の宇津木兵馬を演じた加山雄三で、とても「元服前の若者」には見えないトシの取り過ぎで、剣の道に邁進した、男には到底思えない姿である。あれでは龍之介にまみえたら一撃でやられてしまう、ようにしか見えない。もう少し、原作に近い配役は出来なかったのか、原作を愛する私のような人間には思えてならない。 DVDには特典として、「大菩薩峠の世界」と題する資料映像が付いていて、中に「当初、続編が予定されていた時のラストシーン」のスチルが収録されているのが興味深く、「未完の続編」に興味を馳せる、のも一興である。千恵蔵や雷蔵とは違った、「独自の龍之介」を具体化した仲代の、重厚な演技を堪能できる、映画である。
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