「大絵画展」
日本ミステリー文学大賞???知らなかったぞ。
でも、でも。
この作品は、素晴らしいぞ。
好みもあるだろうけど、あたしゃあ、美術モノ好きだし、コンゲームはもっと好き。
もともと「贋作」は「詐欺」と近いところにあるが、バブル期の遺産として日本に「眠っている」世界の名画、しかも、実際に、その後一旦行方不明になった「ガシェ」に注目したあたり、着眼点として秀逸。
実際の「ガシェ」は、1990年、大昭和製紙(現日本製紙)齊藤了英名誉会長がクリスティーズ(NY)での競売で、当時史上最高落札額の8250万ドル(約124億5000万円)で、競り落として新聞を騒がせ、さらに、その斎藤会長が「俺が死んだらゴッホの絵も一緒に荼毘に伏してくれ」と発言し、世界の大顰蹙をかって、もっと有名になった。
そして、その後一般公開されることなく、斎藤の死後、この絵は担保にされ、ひそかに売却されたといわれ10年くらい行方不明となった。
最近、1997年に斎藤家より売却を受けたサザビーズが、非公開でアメリカのヘッジファンド投資家ウォルフガング・フロットルに、噂では9000万ドルで売却したが、2007年、フロットルが破産し、サザビーズがこの絵を引き取ったことで所在が明らかになった。
この「ひそかに売却」「行方不明」の部分を、見事に、膨らませたのがこの作品。
こうした設定、着眼点の素晴らしさと、一方で、誰が誰を騙しているのか?全てがフェイク?というお約束をきちんと踏襲しつつ、タイトル「大絵画展」へ収束させていく見事さ!は、たまらない爽快感。思わず、「ヒューーッ」と口笛が出てしまうよ。
超一流の「コンゲーム」小説の誕生である。
この本の感想を肴に、ゆっくりワイン飲む相手、誰かいないかなあ。