ぼくは大竹さんを現代の山口瞳さんだと思っているんですが、連載途中からだんだん乗ってくる感じが分かります。一番イイのは「ブラックアウトエクスプレス」でしょうか(p.146-)。
《そもそもゲームはしないし、一心にケータイを使っている人を見ても、何をそれほど通信する必要があるのかが、わからない。
だから生酔では電車に乗れない。もっと深々と酔っていなければ…。》
ということで意識が半分飛んだようなブラックアウト状態になると「電車はどんどん走る」「各駅停車であっても、あっと気づいたときにはけっこう遠くまでだどりついていたりする」と。
しかし、もちろん落とし穴はあります。武蔵境で降りようと思って八王子で目覚めるという空しさも経験しますし、とにかく「ブラックアウトエキスプレスは酔人をいろんなとこへ連れて行く」ということで、笑えるエピソードが満載です。
「相手が誰であれ、もう少しちゃんと喋らないと、痛い目に合うよ」と時々、説教口調になるあたりもいい(p.219)。