風変わりな表題である。休んだドイツ人は何をしているのかといえば、長期の休暇(ウアラウプ)は旅行である。ヨーロッパを陸路旅すると、あちこちでドイツ人を満載した観光バスに遭遇する。アフリカ、南米でも最初に目につくのはドイツ人旅行客。彼らは大まじめで群れ、今でも「民族大移動」中なのである。彼らが目指すカッコいい旅先はいまや南極、近未来は宇宙だ。
なぜドイツ人はそんなに休めるのか? その鍵は「労働時間法」である。部下が休まなければ、上司が処罰の対象になる。部下は当たり前に休み、上司も休む。自分たち(の代表)が決めた法律を遵守しないことに何の価値もない。サービス残業という倫理観は、彼らにとっては非倫理的なのである。
しかし、現在のドイツは、トルコ人や壁の崩壊後に流入してきた旧東欧人に代表される安価な労働力が社会の底辺を支え、「ドイツ人」はその上に君臨している。ドイツ人が大まじめに休んで世界中で見かけられる背景には、必ずしも一筋縄ではいかないお国の構造・事情があるのだ。北欧や豊かな西側ヨーロッパも同様である。
本書は読みやすくおもしろく書かれてあるが、まじめな社会構造分析の観点からはやや物足りなさを感じる。本書の目的が単にドイツ人の表層を伝えるのであればそれでもいいのだが。(澤田哲生)
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