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大澤真幸THINKING「O」第10号記念号
 
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大澤真幸THINKING「O」第10号記念号 [単行本(ソフトカバー)]

岩井 克人 , 大澤 真幸
5つ星のうち 2.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

大澤真幸、渾身の原発論!原発事故が意味するメッセージ、それはイエス・キリスト的な福音、「神の国はあなた達の中にある」なのである。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 132ページ
  • 出版社: 左右社 (2011/10/24)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4903500519
  • ISBN-13: 978-4903500515
  • 発売日: 2011/10/24
  • 商品の寸法: 20.8 x 14.6 x 1.2 cm
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5つ星のうち 2.0 期待はずれ, 2011/11/5
レビュー対象商品: 大澤真幸THINKING「O」第10号記念号 (単行本(ソフトカバー))
本書に収められているのは、大澤真幸氏による論文2本、岩井克人氏と大澤真幸氏との対談、日本学術会議経済学委員会による緊急提言、そして大澤真幸氏による「論文の技法」というコラム(?小論)、特別付録として既刊全10号の総目次及び総人名索引である。

しかし、総目次と総人名索引以外は、どれもが満足に程遠い。

まず、大澤真幸氏による論文「電力自由化とは何か?」について。大澤氏は冒頭で「完全にすみずみまで意見を同じくするわけではない」が、「ほぼ全面的に八田達夫氏の電力新体制論に依存している。それゆえ、より詳しく検討されたい方は、末尾にあげた八田氏の文献にあたられたい」と語る(56頁以下)。この発言に従えば、本論を読む価値は八田氏と異なる大澤氏の主張を知ることにあると言えよう。しかし、本論は注を欠くため、どこからどこまでが大澤氏の自説であり、どこからどこまでが八田氏の説であるかがやや不明である。更に、注がないということは、内容が妥当であるかどうかを判断する材料が無いということである。つまり、本論で語られる内容が「夢のような机上の空論ではなく、十分に現実的なアイデアである」(58頁)かどうかを、読者は大澤氏と共に判断することができないということである。読者は大澤氏の意見をただ正しいと信じろ、ということだから注がないのであろうか。

岩井克人氏と大澤真幸氏との対談は、岩井氏の語りが興味深い。大澤氏の語りは岩井氏の語りを阻害していると思われる個所があるが、これは評者の無知によるものとも考えられるから、詳述はしない。いずれにせよ、本書の中では、岩井氏の語りの個所が最も理解しやすく有益であると思われた。

既に一般公開されており、ネットなどでも無料で閲覧できる日本学術会議経済学委員会による緊急提言を、なぜ本書にそのままの形で収める必要があったのか(岩井氏の「掲載にあたって」の言葉のみ付してはいるが、しかし8行のみである)。「経済学者という存在が緊急時にどういう思考をするのか知ってもらえればと思い、転載」したとのことであるが、何かしら説明や注釈等があっても良かったのではないか。

「論文の技法」は連載であるから(本書のは2回目)、これだけを論じるのは失礼に当たるだろう。しかし、「ある論文が優れているかどうかを(間接的に)示す事実としては、その論文がどのくらい批判されるかを見るほうがよい」、何故なら「私の知る限り、歴史的な価値をもつような卓越した論文は、ほとんどすべて、激しい――ときに集中砲火と言ってよいほどの――批判にさらされてきました」、「激しい批判を誘発したということは、その論文が、相手の何か敏感な部分、本質的な部分を刺激しているということです。相手も、その論文に説得されそうになっているからこそ、それを跳ね返そうと、必死になって批判しているのです」(122頁以下)という言説が、無責任極まりないことだけは指摘しておきたい。大澤氏は橋爪大三郎氏との共著『ふしぎなキリスト教』に対する批判が大きいことについても同様の趣旨の発言をしたが、これは批判を受け入れない態度と紙一重で、そのような態度を読者に勧めているのではないか(実際、『ふしぎなキリスト教』については、評者にとって正当と思わえる批判――例えば、単純な事実誤認など――でも、殆ど受け入れていない)。激しい批判にさらされる論文は優れている、という判断は、説得という努力を軽視してはいまいか。それとも大澤氏は、激しい批判というものは、無理解で愚かな読者が為すものだと考えるのだろうか。

最後に、本書の最初に掲載されている「原発はノンアルコール・ビールか?」であるが、内容は特に重要なことを述べているわけではない。議論の展開は粗雑であるが、「原発の全面的な放棄が、日本にとって、論理的に可能な唯一の結論である。仮に即座に放棄することが現実的ではなにせよ、明確な期限を決めて、漸次、原発を減らし、最終的にすべてを廃炉にしなくてはならないだろう」(34頁)という大澤氏の主張に文句はない。しかし、大澤氏は原発事故を(何故か)神学的に語るため、キリスト教について語るのだが、この箇所は、キリスト教に多少知識ある者ならばとても納得できるものではない。しかも、この部分は本論の半分以上に及ぶのだ。誤ったキリスト教理解を滔々と語り、それを基に自説を展開されても、何ら説得的ではない。何事かをキリスト教とからめて論じたいのであれば、大澤氏はまずはキリスト教をもっときちんと勉強し、それから論じても遅くはないと思われるのだが、どうだろうか。

いずれにせよ、THINKING O 第10号"記念号"に対して(勝手ながら)抱いていた期待に程遠い内容であった。残念である。
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