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大洪水 (河出文庫)
 
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大洪水 (河出文庫) [文庫]

J M G ル クレジオ , 望月 芳郎
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,365 通常配送無料 詳細
o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o
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商品の説明

内容紹介

生の中に遍在する死を逃れて錯乱と狂気のうちに太陽で眼を焼くに至る青年ベッソン(プロヴァンス語で双子の意)の13日間の物語。独特の詩的世界で2008年ノーベル文学賞を受賞した作家の長編第一作、待望の文庫化。

内容(「BOOK」データベースより)

万物の死の予感から逃れ、生の中に遍在する死を逃れて錯乱と狂気のうちに太陽で眼を焼くにいたる青年ベッソン(プロヴァンス語で双子の意)の13日間の物語。ひりひりする緊張感を孕みつつ、叙事詩的な世界を生み出してきたル・クレジオは、2008年、ノーベル文学賞を受賞。その彼のデビュー作『調書』以前に書き始められた長編の、待望の文庫化。

登録情報

  • 文庫: 414ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2009/2/4)
  • ISBN-10: 4309463150
  • ISBN-13: 978-4309463155
  • 発売日: 2009/2/4
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 434,634位 (本のベストセラーを見る)
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18 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By mu----
形式:文庫
はっきりと好き嫌いがでる実験的な作品であると同時に、
好きなのか嫌いなのか、というラインで判断がつけられない作品ですね。
私個人は、なかなか面白く読みました。(すき嫌いではない、の部類です)

クレジオ本人は、「大洪水」が難しい内容になったために、先に「調書」を発表したと語っています。
構成そのものは美しくできていますが、観念的な冒険を許容できないと苦痛に感じられるかもしれません。

以下、雰囲気について
シュルレアリスムやダダに通ずるセンスが感じられます。
とりわけ、序説においての目眩を誘う出来事は、秩序がないようで
どこかにつなぎ止められてでもいるかのように、ふとした瞬間に現実に連れ戻されるよう。
記号的な表現(アルファベットや線などの純粋な記号)によって
風景を示すグラフィックの大胆さも、目を見張るものがあります。

変わって第一章からは、フランソワ・ベッソンの生活が刻々と描かれ
文体もそれなりに具体性をおびてきます。他者とのやりとりに作家の関心が移動します。
テープの挿入等、技巧的にも上手いところがありつつ
最終章にむかってセカイが収束していくって感じ。

このような観念性と具体性の緩急から導き出される、思想的冒険は、
確かにノーベル賞作家としての地盤になったといえるでしょう。

最近のクレジオの作風とは趣が違うもので、
コンセプチャルな思想が詰め込まれた一にして複数の作品です。
クレジオファンの方も、そうでない方も、一度手に取ってみられる事をおすすめします。
あれ、これじゃネットレヴューとしてダメかしら!?
このレビューは参考になりましたか?
形式:文庫
暗くて地味な小説というイメージだったが、
読み始めると、言葉に埋め尽くされた不自由さを感じた。
言葉で生めるのは、何かを主張したい場合と、何も説明できない場合が多い。

たしか、この本には<自由>という言葉は出てこなかったような気がするけど、
何かから逃れたくて、太陽で目を焼いたんだと思う。
彼は「知覚世界」を放棄した。

見ることは、現実の<都会のシステム>に拘束されることであり、
世間の社会のそうしたシステムからの刺さるような『目』から耐えられなくなった
若者の輪郭。

若者の輪郭は具体的に肉付けされたものとしてではなく、
読み手にそれぞれのイマージュを植え付ける。

およそ、全体の8割が言葉に支配された世界。
わずかな登場人物たちとの会話により、まったくのイマージュだけではなく、
血の通った、何かを求めつつも逃れようとする、彷徨うベッソンを通して、
読者はそこに人物たちの生命の物語に一瞬の安堵感を覚え、人型でくくられた<社会のシステム>
から抜け落ちた人物たちに共感を覚える。
そしてその後の展開に淡い期待を託す。

だが、ベッソンはその世界に安住することなくそこからもなおも逃れようとする。

逃れても、言葉は大洪水を起こしているし、看板や数値の記号や言語はベッソンに突き刺さっていく。
もはや教会でさえも魂を救う装置は機能しない。

知覚世界を放棄しても、恋人からのテープレコーダが残り、
聴覚からのまた新たなるイマージュがベッソンを苦しめるのだろうか?

「おれはもう神は信じない」

言葉は相変わらず氾濫しているし、耳から伝わってくる聴覚世界、
形作られていく果てのない概念…
まさに『大洪水』。

彼は60年代の末をひたすら彷徨い続ける。
が、果たしてそれは過去の話だけのことか?

私がベッソンに見たイマージュは全裸で両手を頭の上で抱え込み、
町を彷徨う無垢な巨人である。

なぜ彼は彷徨う必要があったのか?
なぜ目を焼いたのか?

<都市とアイデンティティ>、<自由と拘束>、<言葉と記号>、
<知覚的意識-想像的意識-概念的意識>の役割と喪失。

これららは、「文学とは何か」を導き出すのにいまだ有効な手段だといえるし、
個人に起こった事柄を現代風にスタイリッシュに描くような今時の小説とは、
明らかに一線を画しているはずだ。

現代の世界文学全集に加えてもよい良質な作品だと思う。
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