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五木寛之、あるいは本書は「マイナス思考」というレッテルを貼られがちだ。それは半面、真実だと思う。
五木が鬱っぽい気質をもっていることは確かだし、その文章からは通奏低音のようにため息が聞こえてくる。
しかし、五木はマイナス思考を一つの「生きる智慧」に昇華させているという面も見落としてはならない。
「私がこれまで自殺を考えるところまで追いつめられながら、なんとかそこから立ち直ることができたのは、
この世はもともと無茶苦茶で残酷で、悲惨にみちみちているものなのだ、と思い返すことができたからだったと思う。」(34ページ)
世の中を良いのが「あたりまえ」と考えれば、自分の身に降りかかってくるさまざまな障害を「災い」と受け止めてしまう。しかし、世の中はもともと無茶苦茶なのが「あたりまえ」だと思っていれば、さまざまな障害があっても「まあ、こんなものさ」と受け止めることができるかもしれない。
本書から一つでも二つでもヒントを見つけて、つらい時代を生き抜く智慧を身につけてはどうかと思う。
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