幕末を駆け抜けた38名もの人々の生き様・死に様が簡潔にまとめられています。それぞれの節は個性的で、輪郭は明瞭です。各々末尾の文体に工夫が凝らされているからでしょう。 極めて個人的な印象ですが、読み進めているうちに、もしかしたら本書は幕末の人々を題材にした叙情詩なのではないかと感じられることがありました。作者は正座して朗々とうたっているようです。「英霊の帰還」の節など、さしずめ余韻嫋々たる間奏曲です。
とても面白く味わうことができました。
なお、「最後の江戸町奉行」の末尾の文「入れ替わったのは主だけという点に明治維新の何とも不思議な合理性がある」は、アメリカのイラク占領政策担当者が心すべき含蓄に富んだ言葉のように思えます。