いわゆる江戸時代の将軍・大名の姫+将軍・大名正室となった公家の姫を様々な角度で取り上げた本です。
「狆」と高級武家女性の関係、疲弊した大名社会に更に贅沢と将軍の威光を蔓延させる戦略兵器として送り込まれた将軍の娘など、今までの歴史や大奥本では余り触れられなかった「お姫様」の話を取り上げたところは興味深いです。
ただし、著者の関口氏は元々ジェンダー論専門で歴史専門の学者ではないため、終章でいきなり「明治の近代化が女性蔑視につながり、江戸時代の姫は忘れ去られた」という結論に無理矢理すべての話を集約しているのが、あまりにも唐突で読後感を不明瞭な物にさせています。史料の解釈でも、怪しげな物でも自分の持論に都合のいい物は無批評で取り上げる一方、勝海舟など同時代人の証言でありながら持論に都合の悪い物は無理矢理理由づけて切り捨てている印象を受けました。また、ジェンダー論専門の学者の割には江戸時代の大名には意外に離婚が多かったことを取り上げてないのが片手落ちかと感じました。
但し、著者の意向で白黒ではありますが多数参考画像を入れている点は評価できます。
著者の結論抜きで、エピソードだけを参考にするなら興味深い本です。