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骨董店で手に入れた京都・大江山の鬼の文鎮と友人から見せられた蝶の上に角を生やした鬼が乗っている写真に誘われて、旅に出た作者。
海に面した京都と福井の辺り、あの辺は妖しげな(面白い)神話が多いんだよね。
私も行きたい。鬼車に引かれて私も一緒に旅をしたようでした。
友人の持ち込んだ黄揚葉蝶の写真に、鬼の影(のような物。)が映っている、というのにしたって、どちらかといえば鬼を愛する作中の作者が鬼の消えたことを嘆き、どちらかというとそうだといいという希望であって完全に信じたわけではないし。相前後して伝説上の鬼、酒呑童子のアンティーク人形が手に入ったのだって、普段からそういう嗜好を持っていることを知る骨董店の店主が、彼女に勧めてくれたに過ぎない。
酒呑童子伝説の残る大江山に彼女が向かったのだって、小説のテーマが拾えればいいな、というのが最も重要な要素だったろうし。
鬼の伝説には勝者が記述を歪めた偽善が仄見える。ヒーローである鬼を退治した者は煌びやかに飾られて人々の目を集める。だが追いこめられた鬼らも、けしてただ消えていくのではなくて、いつまでも命脈を保ち、物好きと言われかねない人種の偏愛を受けて日の当たるところに引き出されるということだってある。
現実と言い切るには想像を交えた過去の形は曖昧にすぎ、だが小説と切り捨てるにはどこか割り切れないところが残る。鬼の影のようにありえないはずの蝶は存在して、あまりにタイミングが良すぎた大雨の中に龍の気配を感じたというくらいこの作者どのなら経験していそうな気もする。
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