いわゆるギャルゲーの原作やノヴェライズではなく、れっきとした(?)オリジナル作品のようである。
少女たちが“男もすなる”野球をするとのコンセプトの作品は多くあるが、大正14年という時代設定が目新しい。大正末期といえばまだ日本に職業野球はなく、もっぱら六大学や中等学校が持て囃されていた時代。そんな野球黎明期の女子野球だから、ぶっちゃけ言えばお嬢様のお遊びである。
だが、本作が評価できるのは、巻末の「参考文献」にあるように、時代考証がしっかりしている点だ。当時の女学校特有の雰囲気や制服のデザイン、生徒の家庭環境や日常生活の描写などに違和感がない。
登場する女子生徒も、近現代特有の“破壊し尽くされた”印象がなくある意味安心だし、それゆえの制約の中でキャラも立っており(ちなみにイラストもあり)、好感が持てる。ただ野球ゆえ、メンツが9人揃わないとサマにならない。そのせいか、9人ギリギリ揃ったところで安心して“打ち止め”(?)なのが惜しい。キャラの描き分けやストーリー構成を考えるとやむを得ないか。
続刊が構想されているようなので、今後の展開によってはメディアミックスの可能性も期待できよう。・・・だとして、巻末に「今夏予定」とあるのが11月初旬現在未刊という事実が残念。次巻を早く読んでみたい。期待大。