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大正デモクラシー―シリーズ日本近現代史〈4〉 (岩波新書)
 
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大正デモクラシー―シリーズ日本近現代史〈4〉 (岩波新書) [新書]

成田 龍一
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

多彩な言論や社会運動が花開き、政党内閣の成立へと結実した大正デモクラシーの時代。それは、植民地支配が展開する時代でもあった。帝国のもとでの「民衆」の動きは、どんな可能性と限界をはらんでいたか。日比谷焼打ち事件から大正政変、米騒動、普通選挙の実施、そして満州事変前夜に至る二五年の歩みを、「社会」を主人公にして描く。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

成田 龍一
1951年大阪市に生まれる。1983年早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士(史学)。専攻、日本近現代史。日本女子大学人間社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 258ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2007/4/20)
  • ISBN-10: 4004310458
  • ISBN-13: 978-4004310457
  • 発売日: 2007/4/20
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.4 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モチヅキ VINE™ メンバー
形式:新書
 1951年に生まれた日本近現代史研究者が、2007年に刊行した本。大正デモクラシーの語は非常に多義的な内容をもっているが、著者はそれを1905〜1931年の大日本帝国の下での日本社会の大衆社会化のありようとして定義する。また本書では、多様な民主主義のありようと同時に、ジェンダーやエスニシティの問題、デモクラシーに内在するナショナリズムの問題等に関する研究の進展が踏まえられている。日露戦争後の都市民衆騒擾をきっかけに、民本主義の潮流として台頭した大正デモクラシーは、第一次世界大戦やロシア革命を契機に加速し、旦那衆・雑業層・労働者・農民・女性・被差別部落民・植民地住民を担い手とする、それぞれの立場からの「改造」の諸潮流を生み出した。それらは政治思想としては、民本主義、マルクス主義・社会主義、国粋主義という3つの主張に大別しうるが、それらの担い手は互いに重複してもいた。こうした動きによって、普通選挙法と治安維持法による1925年体制が創出されるが、満州事変は日本社会内の対立を先鋭化させる傍ら、対立を消去してしまう挙国的な論調をも作り上げ、日本は大正デモクラシーにもかかわらず、またある意味ではそれゆえにも、戦時動員の時代に突入してしまう。著者はこの大正デモクラシーの二面性(それは冒頭で吉野作造の二面性として、象徴的に問題提起されている)に注目し、特にその帝国主義批判の不徹底性を重視しているようだ。本書はこのように、最新の研究成果を踏まえつつ、具体的な事実と明晰な論理により、内地・植民地の多様な民衆の動向と帝国レベルの政治の双方に目配りをし、それらを総体として捉えることに成功している。個々の事実が典型的なものかどうかという疑問や、若干論理が抽象的に感じられる部分も無いではないが、コンパクトに時代状況が分かる本。
                       
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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
題名が「大正デモクラシー」であるので、政治や言論領域ばかりを扱っているのかと思いきや、外交、経済、植民地政策、都市と農村における大衆社会まで、幅広く的確にポイントをつかんでおり、短命に終わった大正時代(それにゆえに、日本史の教科書でも地味だったような…)への数々の再発見を、読者は目の当たりにできると思います。

大正時代のなかで、有名な言葉であろう吉野作造の「民本主義」。では「それと民主主義との違いは?」と問われると恐らく多くの人は、簡単には答えられない。詳しく学ぶには「吉野作造評論集」(岡 義武編)をお勧めしますが、「民本主義の観点からは、(日本の)膨張主義に対しての歯止めがなされにくい」という指摘には、うなずくことができました。そして、日本の膨張主義に実際に歯止めをかけようとしたのは、社会主義者たちであり、「帝国主義」(幸徳秋水著)を読んでいただければ、その鋭い帝国主義批判にとても感心させられると思います。著者は、これら「民本主義」「社会主義」に「国粋主義」を加えた3つが、大正時代の言論潮流の基礎であると、わかりやすく説明しています。国粋主義をもう少し取り上げてほしかったとは感じましたが。

とはいえ、もちろん言論統制は段々と厳しくなっていったわけで、そういった社会で言論の自由を求める苦心や、労働組織の団結力(ときには、暴徒と化しましたが)と流動性には、目を見張るものがあります。また女性たち自ら「私」の実現と地位向上を願い、女性誌の発行による啓発活動を活発化させた時代としても著者は注目しており、それも大正時代を理解するひとつの鍵と言えるでしょう。
このレビューは参考になりましたか?
18 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ib_pata VINE™ メンバー
形式:新書
 日比谷焼討ち事件から満州事変までの時代に吉野作造がどのような評論を行ってきたのかということを縦糸にa)民本主義b)マルクス主義・社会主義c)国粋主義ーという三つの主張が鼎立していた時代を描いています。成田さんは《三者は「近代」のさらなる追求(A)と、「近代」の克服や否定(B,C)という対立軸を持ち対抗すると同時に》p.238の図に詳しいのですが《A-B-Cが互いに支えあう局面を有し、重なり合う部分に位置する人物や団体もある》(p.237)というまとめが非常に分かりやすい。意外だな、と思ったのが借地権の発生。これは「旦那衆」によるブルジョワ改革だったんですな。「旦那衆」である都市の中小商工業者は、江戸時代以来の借地に店舗を構え、老舗として営業していたというのですが、日露戦争後に地価が高騰しため《借地人である旦那衆は、弁護士たちの力を借りながら行動を起》し、借地権を獲得していったというんです(p.13)。

 大正デモクラシーの時代というのは、不十分ながらも台湾、朝鮮の植民地人に対する態度への反省が生まれてくるのですが、司馬史観ではちょっと甘々に書かれすぎている台湾の植民地経営に関して、1915年に起こった武力抵抗運動によって、866人が死刑にされるという西来庵事件が起こったことなどがキッチリと指摘されています。《武者小路実篤は『八百人の死刑』という一文で西来庵事件に言及し、「数百人の人間を死刑に処して平気でいられる人間の顔が見たい」と台湾総督府を批判した》(p.136)そうです。
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