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大東亜戦争の実相 (PHP文庫)
 
 

大東亜戦争の実相 (PHP文庫) [文庫]

瀬島 龍三
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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   本書は、1972年、米国・ハーバード大学で国際関係学者約50人を前に行われた講演を、20世紀末になってからまとめたものである。戦時中、陸軍最高統帥部の作戦部に勤務し、全軍作戦の企画立案指導に携わった瀬島氏の貴重な証言である。
   著者はまず戦争の呼び名を太平洋戦争でなく、あえて「大東亜戦争」とする理由を語っている。それは、大東亜新秩序を建設するための戦争であるから大東亜戦争と呼んだのではなく、単に大東亜の地域において行われる戦争という意味合いに過ぎず、戦時中の法令や条規の随所に使用されていた歴史的事実によるものだという。このあたりは、大東亜戦争の名で戦争作戦に深くかかわった著者のこだわりが感じ取れる。
   まず興味を引くのは、当時の大本営の姿が、その内部にいた者の証言として生々しく語られていることである。対等の立場という位置づけでありながら大本営に引きずられざるを得なかった政府。陸軍と海軍の内部対立。そうした中で、「自存自衛」のために開戦に追い込まれた当時の日本の苦悩が如実に示されている。
   著者は、末尾で大東亜戦争を踏まえての7つの教訓を語っている。そこでは大陸政策の失敗、軍事優先の国家体制などが挙げられているが、特筆すべきは明治憲法下における国家運営能力が時代に適応しなくなったという点である。当時の国家運営は実質的には元老と呼ばれる勲功者たちによって運営されていたが、最後の元老といわれた西園寺公望は開戦直前の昭和15年に死去していた。いわば、明治維新以来の政治体制の崩壊が開戦に至った遠因の一つであるという指摘は、興味深いものがある。(杉本治人)

出版社/著者からの内容紹介

なぜ日本人は大東亜戦争を戦うことになったのか。当時の日本人の苦悩に満ちた選択を、大本営陸軍参謀であった著者が虚心坦懐に語る。
六月、皇太后陛下が崩御され、これで昭和という時代が確実に終わったと実感した人は少なくない。しかし、一つの時代が終焉しても、語り継がれるべき歴史というものがある。
 本書は元大本営陸軍参謀将校として、大東亜戦争勃発の経緯をつぶさに見てきた著者が、日本がなぜ大東亜戦争を戦うことになったのかを、明治維新から日清・日露の戦争を経て、大東亜戦争にいたるまでの歴史を凝視しつつ、大東亜戦争は「自存自衛の受動戦争」であったという立場から、苦悩する近代日本の姿を、鮮やかに叙述したものである。
 本書は今から28年前の、ハーバード大学における講演録であるが、国家存亡の危機にあって当時の日本人が守り抜こうとした精神とは何であったかを問う著者の論点は、今、八方ふさがりの状況にある日本人への、危機に対する問題意識の喚起といってもよい。21世紀の国の形を考えるうえでの必読の書である。


登録情報

  • 文庫: 309ページ
  • 出版社: PHP研究所 (2000/07)
  • ISBN-10: 4569574270
  • ISBN-13: 978-4569574271
  • 発売日: 2000/07
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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49 人中、44人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カスタマー
形式:文庫
著者、瀬島龍三氏の参謀としての生の声を読みたいと期待していた。なぜなら、ガダルカナル、インパール、ソ連による終戦工作などに参謀としてかかわっていたからだ。しかし、開戦までという講演のテーマなのでやむをえないかも知れないが、元参謀でなくても歴史資料によっても書けそうな第三者的な内容で、「実相」にはほど遠いように感じられ失望を禁じえない。 また、いくつかの事実誤認も書かれているが、それが当時の陸軍の情勢認識であったのかも知れない。例えば、海軍が「米国を真の仮想敵国としたのではなく」(P289)と述べておられるが、海軍が米国を第一の仮想敵国としていたことは事実である。 「大東亜戦争」の作戦を立案していた人たちが、どの程度の認識で戦争を指導していたかという参考にはなるかも知れない。瀬島龍三氏の戦争認識については、いまでも入手できるなら「元大本営参謀の 太平洋戦争 瀬島龍三インタビュー」(東京新聞出版局,平成7年)のほうがインタビュー形式ということもあり、より具体的に知ることができる。同シリーズの「千早正隆インタビュー」の「あとがき」で編集者の佐藤氏が「陸軍の瀬島龍三氏と今回の海軍の千早正隆氏と二つのインタビューを終えて、なお、私には当時の指導層の気持ちがどうしてもわからない」という感想を述べているが、私も同様の感想を「大東亜戦争の実相」に対してもった。 著者自身の体験をもっと書いていただけたら、それなりの意味はあったと残念に思われる。
このレビューは参考になりましたか?
55 人中、45人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ペトロニウス VINE™ メンバー
形式:文庫
瀬島龍三さんは、戦前後日本エリートを語る上で、興味深い対象です。

戦前のスーパーエリートとして教育を受け、大本営作戦課で大東亜戦争を企画立案し、戦後ジャパンマネーの尖兵、大商社伊藤忠商事の会長に登りつめ、中曽根政権など行政の光と闇に深く関与した人物。山崎豊子の『不毛地帯』壱岐正のモデルとされ、美化された瀬島伝説そして、保坂正康『瀬島龍三-昭和の参謀史』等に代表される、責任を取らない参謀という二面性のある評価。評価が強烈に分かれる。近代日本の制度的問題点や日本的エリートの問題点を凝縮した人物だと思う。辻政信や服部卓四郎よりも長生きし、その生き様が彼の哲学や叩き込まれた日本的エリートの思想を脈々と体現している。

その彼のハーバード大学での講演です。よく整理された教科書という印象を受けました。主張する点は、大きく二つ。一つは、当時の地政学的状況から日本の大陸政策・対米戦争は、受動的なもので自存自衛のものであるという東京裁判への反論。もう一つは、時代に合わなかった統帥権と行政権の並立的な明治憲法下での国家運営能力の欠如です。

主張するところは、よく理解できます。が、しかし日本の国家制度的な欠陥(当時から軍人もエリートもみんな認識していた)を「国民及びエリートたちが、自らの手で修正できなかった」という反省点がない部分は、腑に落ちませんでした。制度だから仕方がありませんでした、は甘いといわざるをえない、と感じるのだが・・・。

日本のエリートには、ウルトラ学校秀才の瀬島や辻のような責任を取らない参謀ばかりで、全ての責任をにとる将軍や元首というトップエリートがいない(今でも見ない)ことがこの国の欠点なのかもしれない・・・と思いました。瀬島さんのような天才的な調整能力を持った参謀を、使いこなせるトップを制度的に作り出すことこそが、日本社会の目標なのでは?と思う今日この頃です。

このレビューは参考になりましたか?
65 人中、48人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 瀬島隆三という人間が、とにかく「優秀」「有能」な参謀であったことに異を唱える人はいない。類稀なその能力は戦後、彼の伊藤忠商事での活躍ぶりを見ても明らかである。
 ただ、その彼が大東亜戦争の「実相」を語れるかどうかは別問題である。
 彼が戦争について語るとき、その全ては当時の制度や意思決定の方法、決定の経緯を縷々述べているだけである。実際、彼は軍内部の意見の対立や利害の調整を上手にこなすのがずば抜けて上手かった様だが、徹頭徹尾、“善か悪か”という視点は欠如したままだ。
 まるで現在の悪しき官僚主義(いわゆる会社人間も含めてだが)の手本を見るようだ。“あの段階ではそう結論付けるしかなかった”“その頃はそういう事を言い出せる状況ではなかった”・・「だから悪くない」と。
 この本から「大東亜戦争の実相」が何か掴めるとすれば、その決定プロセスの馬鹿馬鹿しさである。彼(瀬島)のいう“止むに止まれぬ受動戦争”とは、一度始めたら必要性が無くなっても止められない公共事業と同じであったという事だ。それが「実相」、今も昔も変わらぬ日本の組織の病巣ともいえる。
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投稿日: 2000/11/16
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