大杉栄が一番書きたかった本!
1921年、改造社・山本実彦の求めに応じて弱冠36歳で連載を起こすも、
翌々年の関東大震災下の「甘粕事件」により、未完のままに遺された傑作。
「陛下に弓をひいた謀叛人」西郷隆盛に肩入れしながら、未来の陸軍元帥を志す一腕白少年が、
日清・日露の戦役にはさまれた「坂の上の雲」の時代を舞台に、自由を欲し、権威に逆らい、生を拡充していく、ビルドゥングスロマンの色濃い青春勉強の記。
終生2人の尾行に追われ続けた日本アナキズムの巨頭・大杉栄の、恩師や友人・家族にむけるまなざしのなんと優しいことか!
森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』と比肩しうる稀有な性の文学作品でもある。
軍人の家に生まれて、軍人の周囲に育って、そして自分も未来の陸軍元帥といったような抱負で陸軍の学校にはいった、ちょっと手におえなかった一腕白少年が、その軍人生活のおかげで、ついに社会革命の一戦士になる。というほどのはっきりしたものでなくても、とにかくこの経路をその少年の生活の中に暗示したい。少なくとも、自分の幼少年時代の一切の腕白が、あらゆる権威に対する叛逆、本当の生の本能的生長のしるしであったことを、書きあらわして見たいと。(大杉栄『獄中記』より)
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