禁煙の推進やメタボ健診などの非合理的な政策の裏に潜む官僚などの利益追求を暴いている。これらの政策は国民を健康にする効果はなく、官僚や企業などの強者の利益を目的にしているだけである。さらに、このような、強者が利益追求する一方で弱者が不利益を被るという構図が、戦前・戦中・戦後処理の頃の軍部など(強者)と一般庶民(弱者)の関係と類似していることも指摘している。しかし、弱者の側も、ただ一方的に被害を受けているだけであるとみなしてはならないのであって、弱者の側が強者による「大本営発表」に対して疑いの目を持つことが重要であると述べている。
しかし、この本の欠点を一つ上げるとすれば、せっかく官僚による国民の生活を無視した利益追求を問題としているのに、その視点が環境分野では十分に活かされいないことである。筆者は確かに、環境ホルモンの人体への影響がないにも関わらず、官僚が利権のために対策をし、結果、庁に回ってくる予算が増大して、中堅クラスの官庁になったという問題を正しく指摘している。しかし、P147L12〜で「環境庁が省に昇格したこと自体は、問題視すべき事柄ではない。温暖化など山積する環境問題を考えれば、当然どころかむしろ遅すぎたくらいだろう。」と述べている。ここから、環境分野でのその他の環境省などによる利権目的の非合理的な環境政策への批判的な視点が不足していることがうかがえる。その理由は、人為的理由による温暖化や、その結果起こると主張されている様々な問題は、科学的にはかなり疑問点が多いものなのにもかかわらず、そういった主張を前提として非合理的な環境政策が行われていることについて筆者はあまり問題意識を持っていないように思えるからである。(環境政策では官僚の利益追求が顕著に見られ、このほかにもリサイクル、外来種駆除において非合理的なことが数多く行われている。→参考:池田清彦氏、槌田敦氏、武田邦彦氏、赤祖父俊一氏、薬師院仁志氏などの著作)
この点はこの本の本題ではなく、ごく一部の記述について批判したに過ぎない。この本全体としてはかなり良いものである。