20世紀を代表する指揮者でありながら、これまでその生涯が余り知られていなかったシューリヒトの初めての本格的伝記です。
シューリヒトの芸術を論じるというよりは、客観的な演奏記録のデータを丹念に拾い上げることによって自ずとシューリヒトの姿を浮かび上がらせてくれるという感じの著書です。興味深いのは、シューリヒトがマーラーを得意としていたことやベートーヴェンの「ミサ・ソレニムス」などの合唱付きの作品を好んで演奏していた事実で、CDだけではわからない事実です。
それにしても、アンセルメやフルトヴェングラーが尊敬し、カラヤンも敬意を表していたシューリヒトの偉大さを感じます。当時のレコード会社がステレオ録音でシューリヒトのマーラーを残さなかったのは本当に残念です。