久々に楽しい高校野球物語を読ませていただきました。
なにが良いって、ヒーローもヒールもみんな野球が大好きなことです。
思惑はそれぞれに胸に秘めていますが、それぞれの胸のうちを
あざ笑うかのように、甲子園の夏の大会決勝戦が進行します。
勝利の振り子が右に左に傾く様と、それを一喜一憂しながら
見守る周りの人々たち。
確かに氏が語るように夏の大会の決勝戦ともなると
まるで神の見えざる手に導かれるように、プレイしている
自分たちをあざ笑うかのような試合が間違いなくあります。
そんな中、体の故障をおして、その後の野球人生を賭しても
燃え尽きることを望む野球少年たち。
それに対して、自己中心的だと思われていた少年が礼で尽くす…。
正直、「それはできすぎじゃないの?」と思わないでもないのですが、
「そうあってほしい」という願望も重なって、感慨深い作品に
仕上がっています。
大学で同窓だった選手が監督として、そして夏の大会決勝戦で戦った少年が
再び、甲子園であいまみえる日が訪れる…。
野球小僧たちの永遠に続く輪廻が繰り返されます。
氏の作品は、刑事ものも、スポーツものもファンを自負しておりますが、
この作品は、とりわけ爽快な作品でした。
これからも期待したい作者です。