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大平正芳―「戦後保守」とは何か (中公新書)
 
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大平正芳―「戦後保守」とは何か (中公新書) [新書]

福永 文夫
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

戦後、「保守本流」の道を歩み、外相・蔵相などを歴任、一九七八年に首相の座に就いた大平正芳。その風貌から「おとうちゃん」「鈍牛」と綽名された大平は、政界屈指の知性派であり、初めて「戦後の総決算」を唱えるなど、二一世紀を見据えた構想を数多く発表した。本書は、派閥全盛の時代、自由主義を強く標榜し、田中角栄、福田赳夫、三木武夫らと切磋琢磨した彼の軌跡を辿り、戦後の保守政治の価値を問うものである。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

福永 文夫
1953年(昭和28年)兵庫県生まれ。76年神戸大学法学部卒業、85年神戸大学大学院法学研究科博士課程単位取得満期退学。87年姫路獨協大学専任講師就任。同大学助教授、教授を経て、2001年から獨協大学教授。博士(政治学)。専攻、日本政治外交史・政治学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 300ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2008/12)
  • ISBN-10: 4121019768
  • ISBN-13: 978-4121019769
  • 発売日: 2008/12
  • 商品の寸法: 17 x 11 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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形式:新書
最近再評価が進む大平正芳元総理の生涯を追い、その先に保守政治とは何かを見つけようという著者の意欲作。素直に評価できるいい本でした。
大平首相時代は私が小学生のころ。とにかく「アーウー」のモノマネをしたことと突然亡くなってしまったことしか印象にない総理大臣でした。ところがその素顔は敬虔なクリスチャンであり、また、理路整然とした政治家であったことが本書でよく分かります。
本書中盤は大平氏の評伝というよりも戦後自民党史、もしくは総理大臣列伝の様相を呈していますが、青年期と首相時代の章では大平氏の理念と行動が詳細に解説されています。
田中角栄と盟友関係にあったこともあってか政治とカネの問題にはあまり手を打たなかった印象があり、その点では課題を残したのでしょうが、70年代後半にあって、「経済から文化への転換」を標榜した点、そして何よりも、在野の若手学者などを起用し9つもの研究会を立ち上げ「時の政府の方針に沿わなくてもいいから21世紀に向けた理念を作り上げよ」と指示した先見性。また、「首相にはリーダーシップはいらない。コンダクターの役割でいい」との言葉。これは彼が国民の力を信用していたからにほかならない発言だと思います。
本書は多少功績のほうを持ち上げすぎの感はありますが、「鈍牛」と称された大平氏の再評価をなす力作と評価します。
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By モチヅキ VINE™ メンバー
形式:新書
 1953年に生まれ五百旗頭真に師事した政治学博士が、2008年に刊行した本。大平正芳(1910〜80年)は、香川県の貧農の三男として生まれ、農魂気質を身につけながら成長し、1929年キリスト教に入信し、1936年資本主義の弊害を協同体思想により乗り越えようとする卒論を書いて大学を出、大蔵省に入省した。戦時下、彼は楕円の哲学や60点主義の哲学を持ちながらも、蒙疆の占領地行政に関わり、中国への贖罪意識を持った。彼は大蔵官僚として安堵感と共に敗戦を迎え、日本国憲法を「一つの芸術品」として受け入れ、商人国家としての日本の再建に尽力する。その後彼は池田隼人の秘書官を経て、1952年以来保守本流の政治家となった。彼は官房長官として、盟友田中角栄と共に、強硬論を吐く池田首相を抑えて低姿勢をとらせ、また外相として米国の核持ち込みを容認した。彼は佐藤内閣の通産相として資本自由化を、田中内閣の外相として日中国交回復を主導し、三木内閣の蔵相、福田内閣の幹事長を務めた後、1978年末に「信頼と合意」を掲げて、「三角大福」最後の首相に就任した。米国の指導力の低下、高度成長の負の側面の顕在化を踏まえ、彼は日米安保を基軸に据えつつも、「戦後の総決算」を目指し、地球社会の時代、文化の時代、地方の時代を展望する9つの政策研究グループを立ち上げた。また彼は自公民路線で革新自治体をつぶし、東京サミットを乗り切ったものの、外交面ではイラン革命、ダグラス・グラマン事件、ソ連のアフガニスタン侵攻等に、内政面では与野党伯仲状況、一般消費税問題に起因する衆院選敗北後の自民党内40日間抗争、浜田幸一の不祥事等に悩まされ、結局ハプニング解散に伴う初の衆参同日選挙の最中に亡くなった。汚職には甘いが、誠実に実務をこなし、知性と言葉に重きを置く大平を、近年の劇場型政治を憂慮する著者は高く評価する。
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25 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By picander トップ500レビュアー
形式:新書
クリスチャン宰相であった大平は、ライシャワーが「引っ込み思案であるように見えることによって目立った人物であり、人の後に追随するように見えることによって、人を指導するような人物」と巧みに評したように、鈍牛の風貌とは裏腹の知的で大きな構想を持った政治家であったことは、今では多くの人に知られている。私たちにとって三角大福時代の各宰相の政策とその評価は、どうしても当時の激しすぎる権力闘争の向うに霞んで見えてしまうのだが、本書は大平の人生を辿り、大平の言葉を紐解きながら、彼の目指した戦後保守のあり方を考察する。岸、池田、田中、福田、三木といった政治指導者たちの政策と成果も端的にまとめられており、文章も簡潔で読みやすく大平を軸とした戦後政治史の好著だろう。『大平は極端を嫌い、矛盾する事象に楕円のバランスをとり、粘り強い対話を重視した。また政府の役割を限定していく、小さな政府の先鞭をつけた政治家とも言える。大平の洞察は現在も有効だが、劇場型、強権型政治にシフトする日本で支持を得ることは難しい。危機においてバランス調整型の政治家か、ある種の極端を持った政治家なのか、いまだに日本人はその答えを見出していない。日本の統治構造』と併読すると理解も深まる。政策よりも権力闘争の物語を読みたい向きは、『自民党戦国史』を読んだ方がいいだろう。
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