描かれているのは、この時空とほんの少しだけずれた次元の、物質性の希薄な存在たちとその世界でしょうか。それとも、この文明が終わった後の近未来でしょうか。いづれにしても、そこにあるのは静かな夢幻です。
個展で見た原画は、想像していたよりはるかに巨大で、のみこまれてしまいそうな迫力がありましたが、この画集でも独特の霞がかった光と色彩が本から溢れ出てきそうです。
過去と未来、混沌と希望、退廃とユーモア、光と闇が一つの画面に混在して、奇妙な癒しを与えてくれます。
それにしても、この表紙はどうしたことでしょう。画家の特性や魅力があまり生かされていません。
彼の絵の一部分ではありますが、知らない人には見当はずれな印象を与えてしまうと思いました。