本書は、アルクが編著者、水野邦太郎氏が全面的な監修者となって、洋書を
読むことの意義や楽しさを再認識させてくれる本である。
内容としては、上智大学で英語と仏語を勉強された知花くらら氏のインタビュー
から始まり、英語教育を専門とし、授業でも多読を取り入れられている水野
邦太郎氏、世界的に活躍する物理学者の志村忠夫氏、生命科学者の福岡伸一氏、
そして英文学の権威、柴田元幸氏の4名の英語学習そして洋書への思いを綴った
寄稿がある。
その後第2部では、「本探しに時間をかける」「レジに行く前に裏表紙を確認」等、
洋書で挫折しないアドバイス10個が紹介され、第3部では、おすすめ洋書(マンガ
を含む)が100冊掲載されている。
また、本書を通して、所々に学生の洋書読書に対する声が紹介されている。
4名の研究者たちの寄稿からも分かるように、洋書を「好きで」読んでこられた
姿勢が伝わってくる。もちろん、その結果として得られた英語力や学識や文化知識
等は非常に大きいものがあるのだが、あくまでそれらは4名の先生方にとっては、
「結果」であるように感じる。
そこが、他のSSS式多読を紹介した本とは異なる本書の特徴だろう。
すなわち、「英語力を伸ばそうと思って多読をした」というより、「好きで洋書
を読んだことが、今の自分に寄与している」というスタンスである。
福岡伸一氏の「多読に熱中する人の中には、『英語の本』を読むことが目的になって
いる人が多く見られますが、本来は読書そのものが楽しい営みのはずです。」(p. 67)
というのが象徴的である。
洋書の読み方も人それぞれにあることを認識でき、SSS式多読とは若干色合いの
違うトーンで綴られたこの本は、洋書を読む意義と楽しさを再認識させてくれる。
また、アルクの編集らしい見やすいレイアウトもありがたい。