本書は、著者である藤井誠二さんが、長年培ってきた豊富な取材体験を
惜しげもなく披露することで、
「取材」や「コミュニケーション」の本質にせまる本です。
有名無名関わらず、多くの印象的な事件・人物に具体的に触れ、
その渦中に巻き込まれる自身の悩みや葛藤が赤裸々に語られています。
どのページをめくっても伝わるのは、常に現場に足を運び、
きちんと取材対象に向き合うという、誠実に仕事を続けてきた藤井さんの内面です。
そういった意味でこの本は、藤井さん自身のセルフノンフィクションとしても
楽しむことが出来ます。
「取材学」と言っても書かれているのは専門的なことではなく、ごく単純なことです。
自分の足を使う、きちんと話を聞く、自分の行動に責任を持つ、相手の気持ちを考える、
などなど、すべて「あたりまえ」のこと。
そして改めて気づかされるのは、藤井さんの(見かけとは違う?)
優しさ、あたたかさです。テクニックではできない、気づかいやサービス精神。
きっとその人柄ゆえに、多くの良質な仕事を残すことができ、
いまだ第一線で活躍できているのだろうと思います。
そう思えば、人と関わることなんて、そんなに難しいことではないのかも知れません。
もちろんその「あたりまえ」が出来ないから大変なんですけどね・・・。
「取材」や「マスコミ」、「コミュニケーション」なんていうバタ臭い単語に
興味がない人にこそ読んで欲しい、なんてまとめるとちょっとありがちだけれど、
幅広い人に自信を持っておすすめできる珍しい本だと思います。