私も大学教授です。この本は一般に知られにくい大学教授の仕事全般について、やさしく明解に書かれていると感じます(こういう本はこれまでありそうでなかった気がします)。ただし、この著者は一流大学の一流教授であり、ここに書かれていることが今の日本の大学教授の標準的な仕事ぶりだとはとてもいえません。著者が認めるように理科系であること、指導して来た学生の質が高いこと、彼自身が専門分野でも国際的にトップレベルの研究者であるらしいこと等から、著者の仕事ぶりが大学教授という職業にある者の目標とすべきモデルであるとは思います。しかし、こういう教授人生を歩める人は稀でしょう。日本の大学教授7万人のうち、上位5%位にしかあてはまらないだろうと思います。つまりこの本の内容は、あくまで理想モデルであって、これが平均的な大学教授像だと一般の人が誤解しないか心配です。しかし、著者の書きぶりにはまるでいやみがなく、成功者にありがちな説教調や自己宣伝調でもなく、自分の体験してきた教授職について淡々と記述しています。著者のように優秀ではない、つまり大多数の平凡な教授たちのことがあまりわかっていない(ある意味で幸せな、「世間知らず」な、教授になるべくしてなった)人なのかもしれません。一読後、こういう人の仕事ぶりには遠くおよびそうもないけれど、自分ももう少し頑張ろうと思いました。