最近の岩波新書でも出色の一冊ではなかろうか。
ことに、
'1)大学の歴史:出版術の発明によるメディア革命で、学知が大学の外に展開されるてゆくのに、中世以来の大学は伝統墨守で、一旦はその生命を絶たれかけた。それを再興したのが、ナショナリズムを背景としたフンボルトによる、専門と教養(哲学)の再編による新たな学知の大学で、ドイツのみでなく、日米以下がフォローして第二の大学黄金時代を築いた。
'2)'60年代末の大学闘争は、東大(改革の遅れ)と日大(市場化への過剰な対応)では全く別なベクトルのものであったこと。それにもかかわらず両者には「学生による叛乱」という共通項があり、しかもその後の大学は彼らの提起した問題をほとんど無視して来たこと。
'3)現在の大学危機は、中世の大学の没落と同様、技術的にはメディアのデジタル化により、また時代状況においてはナショナリズムと市場経済の(終焉とまでは言わずとも)限界が見えたことによるものであること、
の3点の指摘には、深く感銘した。
今後の大学改革の方向についても概ね共感できるが、欲を言えばメディア改革への対応だけでなく、(フンボルトと同じ次元で)ナショナリズムと市場経済の限界への挑戦が核となるような改革の道が、探れないものだろうか?(たとえば、現在の”Occupy Wall St.!"デモに対して、大学は何ができるのか?)