この種の本は、ねらいや目的を何にするのかによって、その内容も記述方法も異なるのだろう。
筆者は大学教育の現場で奮闘されていることもあって、誰に向けてこの本を書いているのかは明らかだ。
いわゆる「思考の技術」や「考える」ということに興味を持ち始めた人が、
最初に読む一冊としては手頃な一冊で、筆者の想いや工夫が伝わってくる。
それは大学生に限らず、自分の頭で「考えられる」ようになりたい幅広い層にも通ずると思う。
自分のペースで構わないので最後まで読んで欲しいというような一文を筆者が書き添えるように、
通しで読むには手頃なボリュームである。
初学者が、自分の頭で考えることの日常的な実践のなかで、
迷ったときや「考える」ことが何かを振り返りたいときに、手元に置いておくのも良いだろう。
中上級者でも、一読してみて、何かしら感じるところはあるように思う。
受身の「お勉強」になれている大学生を対象に、まずは"気づき"を与え、
「考える」きっかけとなることを最大の目的に執筆された本書は、
バランス感覚よくその目的を絞り込まれた良書であると思う。
ただ、クオリティを維持しつつ、応用・実践編とも言える続編を期待するのは酷だろうか。
筆者が言う、意識的な訓練としての「問いかけ」を各人が日常的に実践していく契機となる強いインパクトを続編に期待したい。
辛めの評価で☆3つ。
節目節目にある設問数は、9個ではないかもしれません(記憶では9個のはず…)。