毎回重厚なストーリーテリングに夢中になって読んでいるが、
特にこの巻では、見事な伏線のつながりに何度かゾクリと鳥肌が立った。
生類憐れみの令、赤穂浪士事件の繋げ方も鮮やかだ。
しかし読み進めるほどに、綱吉の業の深さや哀しみの深さが胸に迫ってくる。
そこに利発そうな少女、のちの吉宗が現れる。
美しく装い男の気を引くことが何より大事と教えられ、
それゆえに苦しみ続けて老いた綱吉に、
「自分は着飾る必要を感じない。なぜなら、自分は美しい男に興味がないから、
きっとそのような男もいると思う」
と、からりと言い放つ少女吉宗。その言葉に大笑いする綱吉。
まるで綱吉時代の倦怠した空気に
清新な風を吹き込むような、吉宗時代の予兆を感じさせる一幕だった。
歴史好きとして、久々に骨太の歴史大河作品に出会えて幸せに思う。
次巻を心待ちにしたい。