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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
バンパイアと人間の父娘,
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レビュー対象商品: 大吸血時代 (単行本)
今まで読んできた「吸血鬼」ものとは、ちょっと趣の異なる作品です。物語は、バンパイアの世の中で、人間は僅かに金持ちのための「人間牧場」で飼育されているだけという時代です。 バンパイアであるマーティが、一人の少女を拾うところから、物語は始まります。彼女は、母親と一緒に「人間牧場」を脱走したのですが、母親が殺され一人逃げているところでした。 マーティは、この娘イスズから新鮮な血を採ろうと連れてきたのですが、次第に、人間を育てることに興味を示し、やがて、父親としての自覚さえ生まれてきます。 この奇妙なバンパイアと人間の父娘の約10年間の関係が書かれています。 人間がいない時代。子どもを育てることのない時代。しかも、バンパイアと人間。ここで生まれる悲喜劇が、ユーモアとウィットに富んだ文章で語られてゆきます。少女から女性に成長する娘を見る父親の試行錯誤の中に、父親を自覚したバンパイアの愛情が感じられます。そして、娘の父親に対する愛情も。 ちょっと変わった「吸血鬼」ものですが、楽しく一気に読める作品です。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ポップで愛しい世界,
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レビュー対象商品: 大吸血時代 (単行本)
こういうヴァンパイア物は、いまだ出会ったことがなかった。エポックメーキングだ。本書の何がおもしろいかといえば、ヴァンパイアだけの世界で人間の女の子を育てることの困難さを詳細に描いているのがたまらなく魅力的なのだ。まずライフサイクルが違う。食べ物がない。トイレがない。風邪を引いても薬がない。だって、ヴァンパイアには、そんなものみんな必要ないのだ。そういう環境で、どうやって人間の子を育てていくのか?この愛すべきヴァンパイアのマーティは次々と持ち上がるこれらの難関をも のの見事にクリアしていくのだ。それもこれも全部愛娘のイスズのためなのだ。彼の父親ぶりは、傍で見ててもほんとに微笑ましい。全身全霊で娘を愛し、守ろうとするのである。 う〜ん、なんてポップで愛しい話なんだろう。 ラストも大満足の大団円だったし、ほんと楽しんで読めた。幼い子を持つ人には特にオススメです。
16 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
吸血鬼が子育て!?そんな奇抜な発想を見事に物語化してみせたユーモア小説,
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レビュー対象商品: 大吸血時代 (単行本)
人類がほぼすべて吸血鬼と化した近未来の地球。主人公のマーティはある夜、人間牧場から逃走してきた非吸血鬼の女の子イスズに腹を刺されてしまう。不死身のヴァンパイアであるマーティはもちろんこんなことでは死なない。そしてイスズの血を吸うのはもう少し後にしようと、この女の子を自分で育てることにするのだが…。掘り出し物ともいえる痛快小説。 親を亡くした人間の子供を育てる吸血鬼の独身男。奇抜な取り合わせで始まるおよそ600頁のこの小説に、私は終始ニヤニヤ、ケラケラ、オロオロ、そしてホロリとさせられました。ユーモアあふれる、大変愉快で楽しい物語です。 幼いイスズが保護者マーティの愛情を求めようと健気で必死な姿に、マーティのみならず読者もまた心打たれます。この世で自分の愛情を無条件で求めてくる弱い存在がいるということ。子育てが、子供に愛されるという喜びを与えてくれるということであることをこの小説はたっぷりと示して見せます。 成長するにつれ生意気ぶりを発揮しだすイスズ。そんな「娘」に、時に毅然たる態度でのぞみ、時に圧倒されるマーティ。手塚治虫のブラックジャックとピノコみたいな関係をそこに見ました。 翻訳の練達ぶりにも触れておきたいと思います。共訳者の一人が金原瑞人、「蛇にピアス」で芥川賞を受賞した金原ひとみのお父さんです。 原書「Vamped」の冒頭を本書と比較してみましたが、日本の読者の理解が進むように、くどくない程度に原文にはない言葉が補ってあって、翻訳のお手本のような和文に仕上がっているのが良く分かります。本書を堪能できたのも翻訳者の力があったればこそでしょう。
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