一応主人公が修道院に入るまでをたどった小説ですが、メインはキリスト教建築や絵画についての深い考察や議論です。
それらに興味があって、真っ当な解説などに飽きた方にお薦め。
個人的におもしろかった点は、フラ・アンジェリコについての作中評論。
多少乱暴に言えば、メムリンクやファン・デル・ウェイデンより技術的に劣る彼の作品が最も美しいと感じるのは、
彼の信仰の純粋さによるものだという。
「この画家は、祈りのために閉じた眼を、ただ絵筆を取るときにのみ開き、かつて一度たりとも外的世界を眺めたことがなく、
自身の内部にしか眼を向けたためしがなかったのだ」
このような内容の議論が続きます。
写真や画集が手元にあるとよりのめり込めると思います。