たぶん、賛否両論がはっきりと別れるお話だと思いますが、個人的に大好きな物語。
奈良時代中期の動乱の日本。
魑魅魍魎が渦巻く奈良時代の政局に巻き込まれながら、
民の為の日本を作る為、苦難の道をあえて選び戦う学者官僚の吉備真備(吉岡秀隆)、
その真備を師とし、友情にも近い感情で慕う阿倍内親王(石原さとみ)、
真備の友人で己が唐で見た大仏を日本で作ろうと野望を燃やす玄坊(市川亀治郎)、
そして天皇に勝る権力を持たんと暗躍する若き野望家の藤原仲麻呂(高橋克典)
フィクションがやや混じっている感じですが、優雅な貴族社会と余りにも貧しい庶民の生活の対比、
あまりにも殺伐とした血塗られた貴族社会の権力闘争の凄惨さ。
その中で庶民の為に何が出来るかと必死に模索する真備の誠実さが良い。
唯一、天皇の娘ではなく1人の人間として見てくれた真備を慕い
藤原家の支配を目論む母親光明皇后(浅野温子)と仲麻呂の圧迫化の中、
真の王道を模索する阿部内親王も女性として同感する。
まるで純粋な少年と少女のような交流と感情のやり取り。
日本から長らく離れ、唐で青春を送り、そのまま大人になったような真備と
母の実家の野望の為、初めての女性皇太子になった、いつまでも少女のような阿倍。
これがドラマにうまくマッチしていた感じです。
そういえば野心家の玄坊の目的も真に御仏(大仏)に守られる日本を作る為だったし
仲麻呂も権力者の嫌味さはなく、むしろ自分の目的=夢に対する若々しい純粋さと
権力の渦中に居る孤独さの方が感じられる。
そしてこの二人の最後は実に泣けるのだ・・・。
天皇、貴族、庶民、僧侶達・・・まるで曼荼羅のよう。
その中心にあの東大寺の大仏が漫然と輝き、笑みたもう。
惜しむらくは、時代の長さの割りに尺が短くてダイジェストのような構成になったことです。
全般的にはしょりすぎ。
あと、阿部内親王が称徳天皇になってからのエピソード(道鏡さん・・・)は一切ありません。
もしよろしければ、このキャスティングで続編を作って、真備と阿倍内親王のドラマを完結して欲しいです。
CGを多用したドラマですが、風俗や建物の考証はしっかり奈良時代。
奈良時代に興味のある方には絶対お勧めのドラマです。
あと趣深かったのは国村準さんの聖武天皇。
妻と仲麻呂の政治的圧迫の中でも民と国の安定の事を考え、娘に「王道を目指せ」と遺言する。
政治的にがんじがらめになりながらも、王道を最後まで目指した聖武天皇の解釈は新鮮でした。
(しかし、ここまで光明皇后をダークに描いたドラマは初めてでないんかい?)