たしかに本書が書店に並んだときは「なぜ今ごろになってタリバン!?」
との思いを禁じえなかった。
けれど、商業出版とそれに付随する私たちからは「時機を逸した」と感じ
られるとしても、ジャーナリストとしては「今だから」の思いがあるの
ではないか? その気概を買いたいなぁと思う。
今でも、アメリカではリベラル派を含めて「アフガン攻撃(まで)は正当
だった」とのコンセンサスがある。けれど、本書を読めば、本当にそうだった
のかなぁとの思いを禁じえない。淡々と筆を進めるだけに、高木さんの前著の
刺激には欠けるものの、その分情況のリアリティの真髄を味わえる。
最後までバーミヤンの遺跡を守ろうとしたタリバン政権の大臣や次官の奔走、
オマル氏がビン・ラーディンに惚れ、乗っ取られるまでの道程…。読んでて
飽きることはまずないと思う。そして読後、これまで、さして興味のなかった
タリバンの内部が見通せるし、一人一人の顔が見えるようになる。
細部だけど、評者にとって面白かったのは、対タリバンの中国の外交交渉の
狡猾さと巧さ。憎らしいくらいだ、そしてどこか羨ましくもある。さすがは
高木さん、細部も読ませる。
なお、松本仁一『カラシニコフ』シリーズと併せて読むと、日本のテレビ/
新聞業界に属するジャーナリストもまだまだ健在!との思いを強くする。
そして、両者の本とも装幀が抜群にクール。著者たちのクレバーネスをよく
演出してる。